装具・器具等購入費

必要があれば認められます。義歯、義眼、義手、義足、その他相当期間で交換の必要があるものは将来の費用も原則として全額認められます。

上記のほかに、眼鏡、コンタクトレンズ、車椅子(手動・電動・入浴用)、盲導犬費用、電動ベッド、介護支援ベッド、エアマットリース代、コルセット、サポーター、折り畳み式スロープ、歩行訓練機、歯・口腔清掃用具、吸引機、障害者用はし、脊髄刺激装置等があります。

装具・器具購入費が損害として認められる場合

装具・器具等としては、義歯、義眼、義手、義足、車椅子、補聴器、かつら、眼鏡、コンタクトレンズ、身障者用ワープロ、パソコン、介護ベッド、その他の医療器具が考えられます。装具・器具等の購入費が損害として認められるためには、必要性があることが前提になります。将来の買換費用についても同様で、交換の必要がある場合に認められます(「赤い本〔2013年版〕」上巻39頁、「青本〔23訂版〕」43頁)。

購入費や処置料の具体的な額は、必要かつ相当な額ということになりますが、将来の買換費用については、原則として、中間利息を控除します。

どのような場合に「必要がある」、と考えるのかについては、明確な基準があるわけではありませんが、医師が身体の機能を補完するために必要と認めた場合といえるでしょう(例えば、「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」では、義肢等の費用につき「傷害を被った結果、医師が身体の機能を補完するために必要と認めた義肢、歯科補てつ、義眼、眼鏡(コンタクトレンズを含む。)補聴器、松葉杖等の用具の製作等に必要かつ妥当な実費とする。」としています。)。

「後遺障害により失われた身体機能を補助し生活上の困難を軽減するため、身体に装備しあるいは身に携えて使用する器材の購入費用」であれば、必要かつ相当な内容であれば損害と認められると考えてよいでしょう(「青本〔23訂版〕」43頁)。

また、かつらのように整容上の機能の補完についても必要性が認められることがあります。過去の下級審裁判例には、頭部の幅0.7センチメートル×長さ12センチメートル、幅0.5センチメートル×長さ7センチメートルのT字型の醜状痕を後遺障害等級12級と認定した上で、「前記醜状痕の部位、程度、内容、原告の年齢その他諸般の事情を考え併せると、原告の頭部に向後少なくとも50年間人工カツラを着用する必要性はこれを否定しがたいものと認められる」として、「右醜状痕に対応する人工カツラは2日に1度取り替える必要があるため、常時2セット(価格40万3760円)を所持することを要し、その耐用年数は5年であることが認められるので、20セット分を損害として認めることとする。」と判示したものがあります(那覇地沖縄支判平3・6・17交民24・3・677)。上記は、装具等の必要性の判断や、損害の算定についての考え方の参考となる裁判例といえます。

将来の買換費用

装具・器具等の購入費については、耐用年数との関係で、交換の必要があるものについては将来費用も損害として認められます。

耐用年数については、具体的な事案ごとに検討されるべきですが、税法上の減価償却耐用年数や、厚生労働省の補装具支給制度における耐用年数が参考になる場合があるかと思われます。

将来の買換費用における中間利息の控除

一般的に、一時金賠償の場合、将来費用については中間利息を控除します。

例外的に、中間利息の控除を認めなかった裁判例(名古屋高判平4・6・18判タ800・225)もあります。

この裁判例では、義眼の取替費用として1回分7万1340円、耐用年数4年として14回分、99万8760円を中間利息の控除なしに損害と認めています。

この事案は、昭和63年に義眼を作成した際の費用は7万1340円であったところ、平成4年の義眼の作り替えについては8万5000円~13万円に費用の増額が見込まれるという事情を認定した上で、「本件の場合…義眼取替えの費用については、本件事故当時の価格が50数年間というような長い将来にわたってそのまま維持されてゆくとは到底認められず、却ってこれがかなりの程度で増大してゆく蓋然性が相当に高度であるともいえるのであるから…中間利息控除による現価算出の方法を採ることなく…将来の義眼取替えによる損害の現在高(元本)であると認めるのが相当と判断する。」と判示しています。

将来の費用の増額が高度の蓋然性をもって認められることを中間利息の控除を行わないという形でしんしゃくしたものであり、例外的な事案と思われます。

中間利息の控除は事実認定というより法的判断であり、将来の経済状況や物価は不確定ですので、この判例を一般化することはできないでしょう。