1 治療中の方へ
治療の方法
- Q2.どのくらいの頻度で通院するべきでしょうか?
- A2.通院の回数や期間、頻度については医師の指示に従ってください。
通院を余儀なくされた精神的苦痛に対しては、入通院慰謝料(傷害慰謝料)が支払われます。参考までに裁判となった場合の慰謝料基準を説明します。実務的には、日弁連交通事故相談センターが発行する「赤い本(民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準)に記載されている傷害の内容(程度)と、治療期間とからなる基準表に従って基準額を算定しています。
実際に入通院慰謝料を裁判上で請求するためには、治療期間に必要かつ相当な治療が行われていることを前提としますから、交通事故による受傷と治療の内容や入通院実日数の主張立証が必要となってきます。
(1)入通院期間基準
基準表は、入院慰謝料の基準と通院慰謝料の基準とが用意され、通常傷害に適用される別表1と、他覚所見のないむち打ち症等に適用される別表2があります。通院期間が長くなるほど慰謝料は高くなりますが、入通院期間は、被害者側の仕事の都合などの事情や病院側の事情で左右されやすく、また、過剰診療や濃厚診療の問題、加害車両が任意保険に加入していない場合、自賠責の保険限度額(120万円)を超えると、治療費を支払ってもらえない可能性があるため、入通院の必要があっても退院させてしまうという打ち切り診療の問題もあります。
そこで、通院頻度等を参考に金額を妥当なものとするため、別表1が適用される場合で通院が長期にわたる場合は、症状、治療内容、通院頻度をふまえ実通院日数の3.5倍程度を通院期間の目安として、慰謝料額が算定されることがあります。
また、別表2が適用される場合も、通院が長期にわたるときには症状、治療内容、通院頻度をふまえ、実通院日数の3倍程度を通院期間の目安として慰謝料額が算定されることがあります。さらに、入院と同様に評価すべき場合として、赤い本では、「被害者が幼児を持つ母親であったり、仕事等の都合など被害者側の事情により特に入院期間を短縮したと認められる場合には、上記金額を増額することがある。なお、入院待機中の期間及びギプス固定中等安静を要する自宅療養期間は、入院期間とみることがある」(2011年版上巻133頁)とされています。
(2)傷害の部位・程度に応ずる増減
赤い本(2011年版)上巻では、「傷害の部位・程度によっては、別表1の金額を20%~30%増減する」(133頁)とされています。また、生死が危ぶまれる状態の継続、麻酔なしの手術等極度の苦痛、手術の繰返しの場合などは、増額を考慮すべきとされています。
(3)他覚症状のないむち打ち症に対する慰謝料
上記のとおり、他覚症状のないむち打ち症の場合の慰謝料算定に際しては、別表2が採用されていますが、別表1の金額の3分の2程度とより低い基準となっています。
その理由は、他覚所見のないむち打ち症の場合、被害者の気質や年齢、被害者意識の強さ等様々な主観的な要因により、被害者の入通院が長引いている場合があり、加害者との公平上、控え目な基準によって慰謝料額を算定するのが妥当と考えられているからです。