1 治療中の方へ

治療の方法

Q1.現在通院している病院から、交通事故のケガの治療は自由診療だから健康保険は使えませんと言われましたが、本当ですか?
A1.交通事故が原因のケガであっても、健康保険を使って治療を受けられます。病院から健康保険を利用できないと言われることがありますが、これは誤った理解に基づく説明ですので、健康保険を利用したい旨をきっぱりと伝えましょう。病院側が、自由診療を薦めてくるのは、自由診療の場合、一般的に診療報酬点数(単価)が「1点20円~30円」と健康保険の診療報酬点数(単価)「1点10円」より高額で病院側に有利だからです。
被害者の方にも大きな過失がある場合や、入院期間が長期にわたり治療費が高額になる可能性が高い場合、さらには加害者が任意保険に加入しておらず、治療費が自賠責の保険限度額(傷害は120万円)を超える場合等には、自由診療ではなく健康保険を利用するようにしましょう。健康保険を利用した方が、後に支出した分の治療費について加害者に損害賠償請求した場合の最終的な受領額が大きくなり、被害者の経済的なメリットも大きくなります。
一方で、交通事故により負った傷害について、保険適用外の診療方法を受けなければ症状改善しない場合もあります。その場合には、基本的に健康保険を利用しつつ、保険適用外の治療を実際に受けられるのか、費用はどれくらいか等について事前に病院や主治医と十分に相談するようにしましょう。
しかし、現在では、ほとんどの薬や診療方法の費用は健康保険で認められており、現在の医療水準に照らしても、健康保険で認められる範囲で十分な治療を受けられると言われています。
健康保険は、労働者が業務外の事由により負傷等した場合及び労働者の扶養義務者が負傷等した場合に、所定の保険給付を受けられる制度です。交通事故で受傷した場合のように、負傷等が第三者の行為により発生する場合にも、健康保険の給付を受けることができます。(健康保険を利用して自己負担部分だけでの治療を受ける)
ただし、交通事故の場合に健康保険を使って治療を受けるためには、「第三者行為による傷病届」を所轄の全国健康保険協会の都道府県支部長か健康組合に提出する必要があります。
書式は、最寄りの全国健康保険協会の都道府県支部等で入手可能です。添付書類は、交通事故証明書、人身事故証明書入手不能理由書(警察へ物損事故で届出した場合)、事故発生状況報告書、念書、同意書、損害賠償金納付確定書、示談書(示談成立している場合)、負傷原因届です。
なお、健康保険を利用して支給を受けた分の金額は、後に加害者に対して交通事故による治療費について損害賠償請求する場合に、控除することになります。