Traffic Accident Case

事例34 頚椎捻挫由来の症状(後遺障害等級第14級9号)を残した被害者につき、会社役員として休業損害が認められた事例

  1. 慰謝料・損害賠償

依頼主<40代・男性>

事件の概要

福岡県八女市在住の40代会社役員のHさん(男性)は、普通貨物自動車を運転していたところ、路外から進入してきた普通乗用自動車に衝突され、頚椎捻挫、腰椎捻挫等の傷害を負い、治療を継続しましたが、左頚部・左上肢~前腕の痛み、左肘部~左母示・中指のシビレ、左半身(上肢)の知覚障害等を残しました。

当事務所の活動

当事務所は、Hさんの後遺障害診断書等の医証を獲得し、後遺障害等級の申請を自賠責に行い、自賠責より、頚椎捻挫由来の症状について「局部に神経症状を残すもの」として後遺障害等級第14級9号に認定されました(詳しくは、「末梢神経障害」を参照してください。)。

そして、当事務所は、適正な賠償を受けるため、福岡地方裁判所久留米支部に訴訟提起しました。

解決と成果

本件事案における主な争点は、①症状固定時期、②休業損害でした。
症状固定時期について、加害者側は、一般に他覚所見の認められない頸椎捻挫等の治療に必要かつ相当な治療期聞は3か月程度であると主張しましたが、当事務所の立証活動により、裁判所は、当事務所の主張(事故の約11か月後を症状固定日とするもの)を採用しました。
休業損害について、加害者側は、休業により会社の売上高等に影響が生じた形跡は見受けられず、Hさんの休業の事実自体に疑義があると言わざるを得ないとして休業損害を否定しましたが、当事務所の立証活動により、裁判所は、Hさんの役員報酬の大半は労務の対価と評価し、通院実日数について休業損害を認めました。
以上の結果、加害者側が、Hさんに対し、既払金のほか約335万円を支払うとの内容で和解が成立し、Hさんに満足いただける結果となりました。
なお、Hさんが経営する会社の損害(反射損害等)も併せて訴訟提起しましたが、これについても認められました。

弁護士の所感

会社法上、法人の経営を委任するという、委任契約の関係にある以上、役員は違法な行為や不正な行為をしない限り、報酬を請求できるため、役員の休業損害の賠償請求は、原則として認められていません。

しかし、法人の規模によっては、法人そのものに損害が発生することになり、その結果として、役員報酬の受給がおぼつかない状態に陥り、賠償請求が認められる場合があります。そして、損害が発生していることが確認された場合、役員の休業損害を認定するには、「役員報酬を、役員としての経営の対価相当額と、従業員としての労働の対価相当額とに区分し、このうち従業員としての労働の対価相当額については損害が発生する。」という考え方によって損害賠償が行われます。

本件のように、会社役員の休業損害等については、具体的に主張立証することにより適正な認定を受けることは可能ですので、あきらめずに、弁護士に相談して頂きたいと思います。

文責

弁護士 永野 賢二