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3 保険会社から示談提示を受けたが、それが妥当なものか知りたい方へ

保険に関する話

Q3.逸失利益はどのように計算するのですか?
A3.後遺障害逸失利益か死亡逸失利益かによって計算方法が異なります。
もっとも、死亡逸失利益は、基本的には後遺障害逸失利益と類似し、いわば後遺障害により労働能力が100%失われた場合と考えられます。

(1)後遺障害逸失利益
(計算式)
① 有職者または就労可能者
基礎収入額×労働能力喪失率※1×労働能力喪失期間※2に対応するライプニッツ係数※3
※1 労働能力の低下の程度については、自動車損害賠償保障法施行令別表第2を参考とします。
※2 始期は症状固定日、終期は原則満67歳とされ、例外として、症状固定時から67歳までの年数が平均余命の2分の1よりも短くなる高齢者は、平均余命の2分の1とされます。
※3 中間利息控除(賠償時点での一時金としては予めその利息分を差し引いた金額)の計算を簡易に行うために用いられる係数です。
② 18歳(症状固定時)未満の未就労者
基礎収入額×労働能力喪失率×(67歳までのライプニッツ係数-18歳に達するまでのライプニッツ係数)

上記が算定式ですが、逸失利益の認定に当たっては、減収の有無だけではなく、現在および将来の昇進・昇給等における不利益の有無、労働能力低下の程度、すなわち業務に対する支障の有無(後遺障害の部位・内容・程度と被害者の業務の具体的内容との対応関係に鑑みます)、配置転換を余儀なくされた事情等の有無、退職・転職の可能性の有無、勤務先の規模・業績・雇用環境等、被害者の努力、日常生活上の支障の有無等を考慮します。
なお、18歳未満の者については、通常、就労の始期が18歳とされており、それまでは金銭的な利益は発生していないと考えられることから、上記②の計算式のように、67歳となるまでの年数に対応するライプニッツ係数から、18歳に達するまでのライプニッツ係数を控除する必要があります。

(2) 死亡逸失利益
(計算式)
基礎収入額×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

後遺障害逸失利益の場合と相違しているのは、被害者が死亡していることから、生活費の支出を免れた利益分の調整のため、生活費控除を行う点です。
生活費控除については、被害者の家族関係・性別・年齢などに応じて、逸失利益全体に対して一定の割合を控除する方式がとられています。