1 治療中の方へ

治療費の話

Q3.過失割合でもめており、相手方の任意保険会社が治療費を支払いません。どうしたらいいでしょうか?
A3.相手方の任意保険会社が治療費を支払わない場合には、被害者側で一旦、治療費を立替払いし、後に相手方の任意保険会社に請求することになります。交通事故による治療についても、健康保険を利用できますので、病院に対し健康保険を使って治療を受ける旨伝えて、所轄の全国保険協会の都道府県支部長または健康保険組合に第三者の行為による傷病届を提出するようにしましょう。
業務上または通勤途中の人損については、労災保険の給付を受けられます。また、相手方が加入している自賠責保険(強制保険)に対して、損害金の支払いを直接請求することもできます。(自賠法16条)
自賠責保険では、被害者に7割以上の重過失がある場合に限り減額されますし、減額される場合であって最大5割です。ただし、自賠責保険から支払われる保険金には限度額があり、傷害に関する損害については120万円までしか支払われませんので注意が必要です。さらに被害者側の人身傷害補償保険を利用すれば、被害者自身の過失分も含めて迅速に、直接保険金の支払いを受けることができます。(事故状況に関係なく、約款所定の支給基準に従って、自身の傷害の損害額全額の支払いを受けられる)
ですので、相手の任意保険会社が治療費を支払ってもらえない場合、自分が加入している任意保険に、人身傷害補償保険が含まれていないか確認してみましょう。
人身傷害補償保険金を上回る部分の治療費については、事後的に加害者(任意保険会社)に請求することになります。その場合、支払われた人身傷害補償保険金の全額を請求額から控除する必要はなく、被害者自身の過失分を超える部分のみ控除すればよいとされているので、最終的な受領額に被害者の過失分は影響しないことになります。
逆に加害者から損害賠償額を受領した後で、保険会社から自らの過失分に相当する人身傷害補償保険金の支給を受けることもできます。