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治療の方法

Q4.仕事が忙しいので、整形外科ではなく遅くまで開いている整骨院に通院したいのですが、慰謝料や後遺症などに影響しますか?また、並行して通院できますか?
A4.頚椎捻挫(いわゆるむち打ち症)等の場合、被害者が整形外科での治療に満足せず、鍼灸やマッサージ療法を受診するために整骨院に通院するケースが多く見られます。整骨院での施術料についても被害者は、加害者が全額負担すべきと考えがちです。しかし、整体、鍼灸、マッサージ等は医師の資格を有しない者による「施術」であることから、整形外科で治療を受けた場合とで、損害として認められる範囲に違いが出てきます。
整形外科に通院して支払った治療費については、必要かつ相当な範囲で実費全額が損害として認められます。一方、整骨院通院による施術費については、原則として症状により有効かつ相当な場合、ことに医師の指示があれば認められる傾向にありますが、訴訟になった場合、裁判所は施術費を全額認めない場合もあります。
医師の指示がない場合には、施術の必要性・有効性、施術期間、施術内容、施術の相当性について、具体的な主張・立証を尽くさない限り、損害として認められません。整骨院に通院するのであれば、事前に医師に整骨院での治療についての同意書を書いてもらうようにしましょう。
もっとも傷害慰謝料や後遺障害慰謝料に関しては、整形外科に通院した場合と整骨院に通院した場合とで基本的に金額は異なりません。ただし、整骨院で施術を受けることについて医師の指示がなかった場合には、ケガの治療に不要だったと判断されることがあります。そうすると整骨院への通院期間は、傷害慰謝料の算定基準に含めてもらえず、結果的に慰謝料額が低くなります。また、整骨院では後遺障害慰謝料を請求するのに必要な後遺障害診断書を作成してもらえないので注意してください。
また、交通事故によるケガについて、整形外科に通わず整骨院のみに通院するのは、医師の診断書や後遺障害診断書を作成してもらえず、治療費等の請求に支障をきたすおそれがあるので推奨しませんが、整形外科と整骨院に併行して通院することは可能です。しかし併行して通院する場合でも、最初は整形外科で受診して、整骨院での施術について医師の同意書を作成してもらうようにしましょう。医師の同意なく整骨院に通院した場合、加害者加入の任意保険から施術費を支払ってもらえないことがあります。