松本永野法律事務所
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Traffic Accident Case

Case 039 右下腿の機能障害、醜状障害等(後遺障害等級併合第8級)を残した被害者につき、粘り強い交渉により、大幅増額に成功した事例

  1. 下肢・足指(後遺障害)
  2. 人身事故
  3. 醜状障害(後遺障害)

担当弁護士永野 賢二
事務所久留米事務所

ご相談内容

男性

依頼主
Mさん(40代・男性) / 
職業:会社員

福岡市南区在住の40代会社員のMさん(男性)は、原動機付自転車を運転し、信号機による交通整理の行われていない丁字路交差点を直進していたところ、同交差点を右折した普通乗用自動車に衝突され、右下腿骨骨折、右下腿コンパーメント症候群、右下腿骨骨折術後感染、右腓骨神経麻痺、右手舟状骨骨折等の傷害を負いました。

本件事故後、Mさんは、右下腿骨骨折とコンパートメント症候群の診断で、創外固定術と筋膜切開術、プレート固定術、舟状骨骨折に対する内固定術、下腿の筋膜切開部に分層植皮術を行い、抜釘術(脛骨のプレートと腓骨のK-wireの抜去)を施行しました。その後、Mさんはリハビリを継続しましたが、右膝関節及び右足関節の機能障害、右下腿前面の挫創痕、右下腿内側部および右外側部の植皮痕、右手舟状骨骨折後の右手関節痛を残しました。

弁護士の活動

弁護士

当事務所は、依頼者の後遺障害診断書等の医証を獲得し、後遺障害等級の申請を自賠責に行い、自賠責より、右膝関節及び右足関節の機能障害について、いずれも「1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」として後遺障害等級第10級11号(同一系列の障害であるため、別表第二備考6により、併合の方法を用いて別表第二第9級相当と判断。)に、右下腿前面の挫創痕、右下腿内側部および右外側部の植皮痕について「てのひらの大きさの3倍程度以上の癒痕を残しているもの」として第12級相当に、右手舟状骨骨折後の右手関節痛について「局部に神経症状を残すもの」として第14級9号にそれぞれ該当するとされ(詳しくは、「上肢・下肢の機能障害」「醜状障害」「末梢神経障害」を参照してください。)、以上により、併合第8級と認定されました。

解決結果

男性

本件事案における主な争点は、後遺障害逸失利益でした。
加害者側は、後遺障害逸失利益の算定に当たり、醜状障害は労働能力に影響しないとして、労働能力喪失率を35%(9級相当)とするのが相当である旨主張しました。これに対し、当事務所は、Mさんの醜状障害(右下肢の瘢痕)は右下腿前面の挫創痕、右下腿内側部および右外側部の植皮痕についてのものであるところ、これは単に外見上の醜状が存在するだけではなく、派生症状として右下腿痛、右下腿しびれ・つっぱり感を伴うものであるから、労働能力に影響すると主張しました。

以上より、加害者側が、当事務所の主張を概ね認める形で、Mさんに対し、既払金のほか1700万円を支払うとの内容で示談が成立し、Mさんに満足いただける結果となりました。

弁護士のコメント

弁護士

本件事案は、MRSA感染による治療の長期化及び素因、或いは、症状固定時期について争いとなる可能性がありましたので、Mさんの希望もあり、訴訟手続によらず、話し合いによる解決となりました。

また、醜状障害においては、その後遺障害の存在は明らかであることが多く、等級自体を争われることは少ないと思われますが、損害論においては、その障害が認定等級の予定する労働能力喪失率ほどは労働能力に影響を与えないのではないかが争われることが多いといえます。本件事案においても、加害者側より、醜状障害は労働能力に影響しないと主張されておりますが、これが単に外見上の醜状であるかどうか(神経症状を伴うものかどうか)が問題となります。

以上のとおり、紛争解決の手段として、必ずしも訴訟手続が最善であるとは限りませんので、事案に即した適切な解決ができるよう、弁護士に相談して頂きたいと思います。