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事例5 未成年者の暴行によって傷害を負ったとして、約3200万円の損害賠償を訴訟で請求された事件について、約90%を減額した事例

  1. 損害賠償

依頼主<10代学生(事件当時)>

事件の概要

本件事件は、当時大学生であったEさん(未成年)が相手方に暴行して傷害を負わせたとして、EさんとEさんの両親に対して、約3200万円の損害賠償金を求めて訴訟を提起されたという事案です。なお、相手方は、Eさんの両親に対しては、未成年者の監督者責任という構成で請求をしてきました。

当初、相手方から賠償金の支払いを求める請求があり、この時点でEさんは当事務所に相談に来られましたが、相手方の請求があまりにも過大であったこと、相手方が主張する左肩腱板断裂に暴行との因果関係があるか不明であったことから、治療費・休業損害の支払いを拒絶していたところ、相手方から上記訴訟が提起されることになりました。

当事務所の活動

当方としては、先に相手方がEさんに暴行を加えていることから正当防衛が成立すること、左肩腱板断裂について暴行との因果関係がないこと、因果関係がないことを前提にすれば相手方の請求は消滅時効期間が経過していること等を主張立証しました。

また、予備的に、正当防衛が成立しなくとも相当の過失相殺が認められること、左肩腱板断裂と暴行との因果関係があったとしても相手方の従前の職歴等から左肩に既往歴があって相応の損益相殺が認められること、相手方の主張する休業損害・逸失利益が著しく過大であること等を主張立証しました。

解決と成果

その結果、裁判所からは、事件の経緯からすれば相手方に60%の過失が認められること、休業損害・逸失利益の請求額を減額すること、左肩腱板断裂と暴行との因果関係は認められるが左肩に既往歴があって20%の損益相殺が認められること等を前提として、350万円の支払いを求める和解案の提示を受けました。
Eさん及び両親と相手方は、裁判所の上記和解案を受け入れ、訴訟上の和解が成立することになりました。

弁護士の所感

本件では、残念ながら左肩腱板断裂と暴行との因果関係が認められるという前提での和解となってしまいましたが、その原因としては、事件当初に相手方が通院した整形外科医院の診療録(カルテ)に左肩の挙上不能といった記載があったことが決め手となっています。

交通事故等も含めた全ての傷害案件に共通するのですが、事故に遭った場合には、当初から自覚症状を全て医師に申告することで、これを記録に残しておくことが重要になります。
なお、今回のケースでは、請求棄却とはいかなかったものの、当方から主張立証を行った過失相殺、損益相殺、相手方の損害論に対する反論が相当程度認められたことが前提となって、相手方の請求額を約90%減縮することに成功したため、事件の解決結果に満足できる事案だったと思います。

文責

弁護士 永野 賢二