1. 禁止条項とは
(1) こちらでは、賃貸のアパートやマンションなどの居住用建物賃貸借契約を例に、契約条項に盛り込まれる禁止条項(主にペット禁止条項と騒音禁止条項)について、その効力や契約違反の効果について触れます。
(2) 賃貸借契約は、賃貸人と賃借人の合意により締結されるものなので、賃借の条件等についても、当事者において自由に定めるのが原則です。
通常の賃貸アパート等の契約においては、約款という形ですでに契約条項が定められており、賃借人がこれを確認して契約を締結するという方法が多いと思われます。
そして、約款において、賃借人に対してペットの飼育や楽器の演奏等を、一律に禁止する条項を設けることは有効とされています。
これは、音や匂いによって、周囲の人間に迷惑をかけることを防止するという理由について、条項に合理性が認められるからです。
(3) そのため、賃借人がこのような禁止条項に違反している場合には、賃貸人としては、契約違反を理由に賃貸借契約を解除し、建物の明渡しを求めるということになります。
もっとも、事案によっては、賃貸人と賃借人との間の信頼関係が破壊されるに至ったとは言えないとして、契約解除を無効とした裁判例も見られます。