2:賃貸借終了にまつわる問題点

賃貸借の契約終了時に問題が生じるケースとして例えば下記のようなものが代表的です。

建物明渡しについて

賃貸借契約は、賃貸人が賃貸目的物を賃借人に一定期間使用収益させ、その対価として賃借人から賃料を支払ってもらう契約ですので、いずれは賃貸目的物の返還が予定されています。しかし、賃貸目的物が建物である場合、借地借家法の規制や判例により、その返還については特別なルールが存在し、“賃借人が借家を簡単に追い出されないようにする”という方向での規制がかけられていることが多いことからトラブルが生じがちになります。

契約更新拒絶と正当事由について

契約上、更新しない場合には〇か月前に通知する、と定めていることが多いと思いますが、借地借家法上、賃貸人側からの更新拒絶については、「正当事由」の具備が必要です。 この規定は強行規定であって、特約で排除することはできないため、更新拒絶については、それに合理的な理由があるのかというのがポイントになります。
揉めてしまっても、裁判に至らない状態で、多少の立ち退き料を払って交渉の上で契約を終結させるという例も多く存在します。

信頼関係の破壊について

賃借人が賃料を払わない、目的外の使用をしている、無断で第三者へ転貸をした等々、賃借人の契約違反があった場合に、賃貸人としては、賃借人の債務不履行を理由に契約を解除し、賃貸不動産の明け渡しを求めることが考えられます。
しかし、その場合、判例上、たとえ賃借人の債務不履行があったとしても、賃貸人と賃借人の信頼関係が破壊されたと認めるに足りない特段の事情がある場合には、契約解除をすることはできないと扱われてしまう場合もあります。

原状回復について

一般的な借家でも、不動産取引のトラブルには様々なものがあります。
そのなかでも、原状回復、敷金返還トラブルに関する相談件数が最も多いと言ってよいと思います。
そのためには、賃貸借契約締結段階、退去段階において、費用負担区分を明確にし、十分に説明する必要があります。

建物明渡しの強制執行

建物の明渡しを求める訴訟に勝訴して確定判決を得た場合であっても、占有者が建物を明け渡さず、居座り続けることがあります。
そのような場合に、いくら勝訴判決があるからと言って、自力で占有者を連れ出したり借家内の家財を運び出したりすることは自力救済として許されません。
そのため、確定判決後に任意に占有者が判決通りに建物を明け渡してくれない場合には裁判所に申し立てて強制執行の手続きをとる必要があります。
いずれにせよ話合いで解決しない場合は、ぜひ早めに弁護士にご相談ください。法的知見と交渉力で、ご相談者様の真の利益をめざして解決をさせていただきます。