1. 建物明渡しとは
ここでは、主に居住用の借家契約を例に、建物明渡しについてご紹介します。
賃貸借契約は、賃貸人が賃貸目的物を賃借人に一定期間使用収益させ、その対価として賃借人から賃料を支払ってもらう契約なので、いずれは賃貸目的物の返還が予定されています。
しかし、賃貸目的物が建物である場合、借地借家法の規制や判例により、その返還について特別なルールが存在します。
そしてそのルールは、建物賃貸借が賃借人の居住や商業活動等、賃借人にとって生活の基盤となる場合が多いため、賃借人保護、すなわち「賃借人が借家を簡単に追い出されないようにする」という方向での規制がかけられていることが多いのです。
さらに、裁判においても、借家の明渡しに関して、賃借人保護の方向での解釈運用がなされているものが散見されます。