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Case 008 一人親方が工事の瑕疵を理由に損害賠償請求訴訟を提起された事件において、原告の請求を全面的に排斥した上、当方の反訴請求が一部認容させた事例

  1. 建築紛争

担当弁護士松田 孝太朗
事務所大牟田事務所

ご相談内容

男性

依頼主
Hさん(20代・男性)
個人

一人親方として働いている福岡県在住のHさんは、かつて従業員として働いていた会社(原告会社)から、Hさんと請負契約を締結して現場を任せていた工事に瑕疵があるなどとして、約1000万円の損害賠償を求めて訴訟を提起されました。
この点、Hさんは、当時、原告会社と上記請負契約をした事実はなく、原告会社の従業員として稼働していたとのことでした。
そのため、当事務所は、訴訟にて原告会社の損害賠償の前提である請負契約の存否について争うこととしました。

弁護士の活動

弁護士

この点、原告会社とHさんとの間には雇用契約書や請負契約書は作成されていませんでしたが、原告会社は、従前より、Hさんの労務の対価を給与ではなく、一人親方(個人事業主)に対する報酬金の支払いとして会計処理をしていました。
そこで、当事務所は、Hさんから原告会社での稼働状況について詳しく聴き取りを行ったところ、実態としてHさんは当時原告会社の指揮監督命令下にあったため、請負契約関係にはなかった(雇用関係にあった)との主張立証を行いました。

また、原告会社が具体的な瑕疵を明らかにしていなかったため、工事の瑕疵や損害について詳細に主張立証を行うように求釈明を求めました。

さらに、Hさんは、原告会社から臨時で人工を手配するよう依頼されて友人にこれをお願いしたものの、原告会社から人工代は支払われておらず、Hさんがこれを立て替えていること等も発覚しましたので、当事務所は、立替金等の支払いを原告会社に求める反訴を提起しました。

解決結果

男性

その後、証拠調べ(証人尋問)期日を経て、判決に至りました。
その結果、原告会社の立証ができていないとの理由で本訴が全面的に棄却され、反訴(立替金等の請求)を一部認容するとの判決を獲得しました。
その後、原告会社は上記判決に控訴せず同判決が確定したことで、原告会社の請求は全面的に排斥され、逆に原告会社から立替金の一部を回収することができました。

弁護士のコメント

弁護士

今回のケースのように、裁判所から訴状が届いた場合は、訴状の内容が真実であるかどうかは別にして、被告として速やかな対応が必要となります。
原告の主張が事実と異なっていて請求に応じられない場合、被告としては、問題となっている関係書類の収集や事実関係の精査を行う必要があります。なお、今回のケースのように契約書類等が特に存在しない場合には、実際の事実関係を整理して法的構成を検討することは極めて重要です。
もっとも、上記作業は専門的な知識や知見が必要なことも多いため、裁判所から訴状や支払督促等の書面が届いた場合には、
できる限り早期に弁護士に相談して対応を検討することが重要です。