過払い金返還請求

1 総論
過払金の返還請求とは,利息制限法の上限よりも高い利息(概ね年利20%を超える利息)での返済を継続していた場合に,払いすぎた利息の返還を求める手続です。
現在は,消費者金融などが利息制限法の上限を超えた利息で貸し付けを行うことはなくなりましたが,以前(平成19年より前くらいの時期)は制限超過利息での貸し付けを行う業者が多く存在しましたので,それ以前に借り入れ,返済を繰り返していた場合,払いすぎた利息の返還請求ができる可能性があります。
以下では,このような請求を行う場合の流れを説明していきます。
2 手続の流れ
(1)  相談~受任通知の送付
 過払金の返還請求をする場合,過払金が発生していることをわかった上で弁護士等に相談に来られる方と,わからずに相談に来られる方がいます。
 前者の場合は主に消費者金融等からの借金を完済している相談者ですが,その場合には,債権者に対して弁護士から過払金を請求する旨の通知を送付します。
 これに対し,後者は完済していないケースですが,相談者本人は借金の返済が難しくなって債務整理の相談に来られるのですが,弁護士が話を聞いているうちに,過払金が発生している可能性に気付くことがあります。この場合,この時点では過払金が発生しているかどうかわからない状況なので,過払金を請求する旨の通知ではなく債務整理の受任通知を送付します。
(2)  取引履歴の取り寄せ~引き直し計算
 弁護士が債権者に受任通知を送ったら,各債権者から取引履歴が開示されます(消費者金融等は取引履歴の開示が法律上義務づけられていますのでこれを拒むことはできません)。
 取引履歴が届いたら,利息制限法による引き直し計算を行い,過払金が発生しているかどうか,また,発生しているとしてどれくらいの過払金が発生しているかを確認します。
 ここで,利息制限法による引き直し計算とは,相談者と各債権者との間の取引における利息を法律上の上限利息に換算し,その場合の残債務(又は過払金)がいくらであるかを計算する作業です。
 この計算をすることで過払金の有無及び金額が確認できますので,もし過払金が発生していることが判明した場合には,債権者に対して過払金の返還請求書を送付します。
(3)  過払金返還請求書の送付~任意交渉
 過払金の返還請求書を債権者に送付したら,まずは任意に支払ってもらうための交渉を行うのが通常です。
 あくまで任意の交渉ですので,この段階でこちらが請求した金額を全額支払ってもらうことは期待できません。
しかし,話し合いがまとまらなければ裁判をするしかないので,その場合は回収までに長期間かかることもあります。また,債権者の側からも,過払金は発生していないとか金額がもっと少ないなどと反論してくるのが通常ですので,それが裁判で認められれば,過払金が発生しなかったり減額されたりすることもあり得ます(特に問題となることが多いのが「取引の分断」という問題ですが,これについては別の頁で説明します。)。
 したがって,過払金の回収を相談者が急いでいるかどうかや,裁判になった場合に債権者側の反論が認められる可能性がどの程度あるかなどを弁護士に検討してもらった上で,任意交渉で和解するか裁判を起こすかを決定することになります。
 もっとも,裁判になってからでも和解はできますし(これを「裁判上の和解」といいます。),現に裁判上の和解で終了することも多いので,任意交渉の段階で和解を急ぐ必要性は小さいかもしれません。
(4)  訴訟の提起
 任意交渉で和解が成立したら,和解契約書を作成し,入金によって手続き終了ですが,和解がまとまらない場合は訴訟を提起することになります。
 先にも説明したとおり,訴訟を提起した場合でも裁判所を交えた形で和解の話し合いがされるのが通常で,判決まで行かずに裁判上の和解で終わることも多いです。
 また,裁判上の和解には判決と同様の効果がありますので,和解条項で定められた支払いがなされない場合には強制執行を行うことも可能です(任意交渉の和解で金銭が支払われなかった場合,強制執行のためには改めて訴訟をしなければなりません。)。
 裁判内での和解に応じるかどうかは,判決までに要するであろう期間や,予想される判決の内容などによって相談者自身が決めることですので,どうするのがよいか弁護士ともよく相談するとよいでしょう。
3 まとめ
  以上のような流れで進んでいく過払金の返還請求ですが,本人にとっては契約で定められたとおりの返済を行っているだけなので,過払金が発生していることに気付かないまま消滅時効(最後の取引から10年が経過)にかかってしまっているケースも見受けられます。
また,大した額ではないだろうと考えて過払金の額を調べようともしないケースもあるようです。
  しかし,取引の期間が長ければ過払金が数百万円規模になることも珍しくありませんし,過払金は法律上認められた利息を越えて消費者金融等に支払ってしまったお金であり,それを取り返すことは正当な権利です。
  過払金が発生しているかもしれないと思った方は,消滅時効にかからないよう速やかに弁護士等に相談し,まずは過払金の有無やその金額を調査してみることをお勧めいたします。