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事例6(少額の債務で免責が認められた事例)

  1. 自己破産

依頼主Fさん(50代男性)職業 無職、借入先 銀行(カードローン)、債務総額 約35万円

1.ご相談に至る経緯

福岡市在住のFさんは、仕事のストレスから精神疾患を患い、10年程前から生活保護を受給して生活していましたが、生活保護受給中であるにもかかわらず、銀行のATMからカードローンの申込をしてしまいました。一部は返済しましたが、結局返済に行き詰った結果、銀行から貸金返還請求訴訟を提起され、請求認容判決を取られてしまいました。Fさんは預金口座が差し押さえられるのではないかと心配されていました。

2.当事務所の活動

当事務所で確認したところ、Fさんの債権者は2社で負債の合計は約35万円でした。Fさんには、生活保護受給中の借入ということで、返済できないと分かっていながら借入を行ったことが問題とされる可能性があること、債務総額が少額なため、支払不能と認められるのかどうかも問題になることを説明した上で、破産申立の準備に入りました。また、上記のような問題点があるため、裁判所に破産申立をする段階で、裁判官との面接を希望しました。

3.解決と成果

裁判官との面談に先立ち、精神疾患で就労できないことを説明するため、通院状況や病院で処方されている薬について報告書を提出し、裁判官との面談の際にはFさん本人から反省していること、今後は借り入れを行わないことを伝えてもらいました。その結果、同時廃止により免責許可を受けることができました。

4.弁護士の所感

生活保護は、生活に最低限必要な金額を支給するものですから、制度上、生活保護費の中から負債の支払を行うことはできないとされています。
とはいえ、破産申立を受けた裁判所は、生活保護受給中であるということだけで当然に返済が不可能であるということまで認めてくれるわけではありません。破産手続によって免責許可を行うことは、債権者に重大な影響を与えるものですから、客観的にみて返済が不可能なのかどうかについて、裁判所は慎重に判断します。
申立の準備の段階で問題点を把握しておくことが、スムーズに手続を進めることにつながります。

文責:弁護士 埋田 昇平