1.否認対象行為とは、破産管財人に与えられる権限のこと
破産手続では、破産管財人が破産者の有する財産を換価し、各債権者の債権額に応じて平等に配当します。
当然、破産者はすべての債権を弁済するだけの財産を有していないので、破産者が自己の財産を減少させるような行為をすると、債権者全体の利益を害することになりますし、特定の債権者に財産を与えるような行為をすると、その他の債権者の受け取る配当が減少し、各債権者間の平等を害することになります。
そこで、破産手続きにおいて、破産管財人には、その行為をなかったことにして破産者の財産を取り戻す権限が与えられています。
破産管財人の有するこのような取り戻しの権利を「否認権」といい、否認権行使の対象となる行為を「否認対象行為」といいます。
本項では、どのような行為が否認対象行為となるのかについて説明していきます。