3.管財事件の流れ
(1)破産管財人の選任
破産手続開始決定までの流れは、同廃事件と特に変わりありませんが、管財事件の場合、破産手続開始決定と同時に破産管財人が選任されます。
破産管財人は破産手続きにおいて債務者の財産を債権者に分配すること等を含む多様な業務を担っており、事実上法律上の困難な問題も含むことから、弁護士が選任されるのが一般的です。しかし申立人が破産管財人を誰にするか選ぶことはできず、裁判所が種々の事情を総合的に考慮の上で、誰を破産管財人にするか決定します。
(2)債権調査及び破産財団の換価
破産管財人が選任された場合、原則として破産者の有する一切の財産の管理処分権は破産管財人に専属し、破産者は管理処分権を失います(このように破産管財人に管理処分権が移った財産を「破産財団」といいます)。
破産管財人の大きな役割の1つは、破産者の財産を換価して債権者に分配することにありますから、破産管財人は、破産手続きが開始され破産財団が形成されると、破産財団の価値を劣化させないよう、速やかにかつ適時に破産財団を換価していきます。
それと併せ,破産管財人は債権調査を行い、債権者及び各債権額等を確定させます。
(3)配当
破産財団の換価と債権調査が終了すると、破産管財人は配当を行います。
すべての換価が終了する前に部分的に配当を行うこともありますが(これを「中間配当」といいます)、すべての換価が終了した後にまとめて配当を行う最後配当が原則とされています。
(4)債権者集会
上記の破産財団の換価、債権調査及びそれに続く配当の作業と並行して、約3か月に1回程度の頻度で債権者集会が開催されます。
債権者集会とは、債権者に対して破産手続の進行や破産者の財産状況等について情報を提供するとともに、破産管財人が行う管財業務に関わる重要事項について意思決定をするため、破産管財人・破産者・債権者で開催される集会をいいます。
債権者の数や債務総額の少ない個人破産では債権者が誰も参加しないことも多いですが、債権者は自由に債権者集会に参加し、免責等に関する意見を述べることができます。
債権者集会は、破産管財人による配当手続が終了するまで繰り返し開催されますので、破産者はそれまで継続して出席しなけらばなりません。
(5)破産手続及び管財人の任務終了
配当手続の終了により破産管財人の任務が終了すると、破産管財人は計算の報告書を裁判所に提出し、計算の報告のための債権者集会が開催され、計算が債権者等からの異議なしに承認されると破産手続が終結します。
(6)免責許可決定又は不許可決定
破産手続が終結すると、同廃事件と同様にあとは免責許可(又は不許可)決定がおりるのを待つのみとなり、免責許可決定がおりれば、免責許可の確定(通常は免責許可決定から1か月程度)により債務者の借金が免除されます。
なお、管財事件の場合、債権者集会が免責の審尋期日を兼ねていることから、破産手続き終結後に免責の審尋が行われることは基本的にありません。