1.遺贈について

遺贈とは、遺言により遺産を無償で譲ることをいい、遺言により遺産を譲り受ける者を受遺者といいます。遺贈は、受遺者の了承を得ることなく遺言者のみの行為(単独行為)によって成立し、遺贈を受けるか否かは受遺者の意思に委ねられます。この点、契約の贈与(当事者間の合意により成立します)とは異なります。

2.死因贈与

死因贈与は、死亡を条件とした、生前に交わした条件付き贈与契約をいいます。合意による契約ですから、遺贈とは異なり、受贈者が一方的に受取を拒否することはできません。
 
遺贈は遺言によってする必要がありますが、死因贈与は契約ですので、口約束によってすることもできます。もっとも、証拠がないと後でトラブルになるので、契約書を作成しておくことをお勧めします。
 
遺贈は、遺言自体が撤回することができるので、生前に撤回できます。書面によらない死因贈与は、撤回することができます。もっとも、負担付死因贈与の場合、既に義務や負担を履行していれば特段の事情がない限り撤回はできません。

3.特定遺贈

特定遺贈とは、財産を特定して譲る遺贈の方法のことです。
 
例えば、「甲土地をAに遺贈する」といった場合です。受遺者が受取る財産が明確となっていますから、遺産分割協議を行う必要はありません。
 
特定の財産を譲り受けるだけですから、被相続人の債務は引き継ぐことはありません。

4.包括遺贈

包括遺贈とは、財産の割合を指定して譲る遺贈の方法のことです。
 
例えば、「遺産の半分をAに遺贈する」といった場合です。受遺者が受取る財産が明確ではないので、どの財産を譲り受けるか、他の相続人や受遺者との間で遺産分割協議を行う必要があります。
 
「包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する」(民法990条)ことから、指定された割合に応じた債務も引き継ぎます。
 
また、相続人と同様、相続放棄をするには相続開始を知った日から3カ月以内に家庭裁判所で手続きをする必要があります。