1.寄与分について

寄与分とは、相続人により「特別の寄与」がなされ、それにより相続財産の維持又は増加が図られた場合に、その特別の寄与を行った相続人の取り分を増やす制度です(民法904の2)。
 
遺産の分割では、共同相続人の各相続分を話し合いで法定相続分とは異なる割合で取り決めることができます。もっとも、法定相続分を基本としての話し合いになりますし、話し合いがまとまらなければ最終的には法定相続分に従って分割することになります。
 
しかし、相続財産の維持形成に寄与した相続人がいる場合に法定相続分に従って分配すると、相続人間に不公平が生じてしまいます。
 
寄与分とは、このような不公平が生じる場合に公平を図ることを目的とする制度です。

2.寄与分が認められる要件とは

(1)相続人であること

寄与分を主張できるのは、相続人に限られています。そのため、内縁の場合、特別の寄与があっても相続分も寄与分も認められません。
 
この点、相続人の妻子らの被相続人に対する介護が、相続人の履行補助者的立場にある者の無償の寄与行為として特別の寄与にあたると判断した裁判例があります(東京家庭裁判所審判平成12年3月8日)。この裁判例では、相続人の家族による寄与を相続人による特別の寄与と同視したものであり、相続人以外の者に寄与分を認めたものではありません。
 
民法の改正案では、被相続人と一定の身分関係がある者について、寄与分を認めることなどが議論されています。


 

(2)特別の寄与であること

(ア) 寄与の程度
 
寄与分が認められるには、相続人と被相続人間に存する親族関係に基づいて当前に期待される貢献を超えた特別の貢献があることが必要となります。
 
(イ) 寄与の態様
 
ア:被相続人の事業に関する労務の提供(家業従事型)
被相続人が営む事業について、無償又は無償に近い形で、一定の期間にわたり、労務を提供している場合に、寄与分を認めることがあります。
 
イ:被相続人の事業又は生活に関する財産上の給付(財産出資型)
資金援助や贈与、無償に近い形での不動産の貸与などをした場合に、寄与分が認められることがあります。
 
ゥ:被相続人の療養看護(扶養型) 
相続人について病気の看護や介護が必要な場合に無性に近い形でこれを行い、第三者に頼んでいれば必要であった看護等に係る費用の支出を免れた場合や自己の扶養義務の範囲を超えて扶養した場合に寄与分が認められることがあります。
 
ェ: その他特別の寄与をした場合
相続財産を維持又は増加させる寄与の方法は、問われないので上記ア~ウ以外の方法によって特別の貢献が認められれば、寄与分が認められます。被相続人の財産を管理(不動産の賃貸管理、維持、修理など)することで維持増価させる場合などに認められることがあります。


 

(3)相続財産の維持又は増加が図られたこと

維持とは、放置すれば被相続人の資産が減少し、または負債が増加するところを防止することを意味します。増加とは、相続人の行為により被相続人の資産が増加し、又は、負債を減少させたことを意味します。


 

(4)特別の寄与と相続財産の維持又は増加との間に因果関係があること

寄与行為があっても、その行為によって相続財産が維持又は増加したと認められない場合には、因果関係がなく寄与分は認められません。

3.寄与分の算定

寄与分は、相続人全員の協議によって決めるのが原則ですが、協議がまとまらない場合には、家庭裁判所の調停や審判手続きを利用することで、寄与の時期、方法、程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して判断されます。
 
寄与分は、特別の寄与によって実際に維持又は増加した相続財産の額となります。
【寄与分が認められる場合の具体的な相続分の計算方法】
①相続財産から寄与分を差引き残りの額をみなし相続財産とする
②みなし相続財産を法定相続分で分配しする
③寄与者には控除していた寄与分を相続分に加算して相続させることになります。

4.寄与分と遺留分の関係

遺留分算定の基礎となる財産では、寄与分が控除されませんので、寄与分が認められる場合に、寄与分が他の相続人の遺留分を侵害する場合があります。
寄与分と遺留分の優先関係を規定した条文はありません。実務では、寄与分を定めるにあたり、遺留分を「一切の事情」として考慮して、遺留分を侵害する寄与分の定めは特別の事情がなければ認めないという運用をする考え(東京高裁決定平成3年12月24日)が支配的となっています。