1.書面がなくても成立する労働契約
労働契約は、労働者および使用者の合意のみ、口約束でも効力が生じる「諾成(だくせい)契約」です(労契法6条)。つまり、雇用契約書がなくても違法性はないということになります。
もっとも労契法では「労働者および使用者は、労働契約の内容についてできる限り書面により確認するものとする」(同法4条2項)とし、さらに労基法でも「労働契約の締結に際して使用者は労働者に対して、賃金・労働時間その他の労働条件を明示する義務がある(同法15条1項)」としています。
そのことから、労働契約において書面は成立要件ではありませんが、使用者は労働者に対して労働条件を明示することは必須となります。早期に書面で労働条件を明確に合意しておくことで、後々のトラブル回避にもつながるでしょう。