1.パートタイム労働者とは

正社員など無期雇用フルタイム労働者の所定労働時間または日数より、少ない時間または日数の労働条件となっている労働者のことを「パートタイム労働者」といいます。企業によってはアルバイト、嘱託などの名称で呼ばれることもあります。
 
パートタイム労働者は「短時間労働者」のはずにもかかわらず、正社員と就業時間がほとんどかわらないケースがあり、フルタイムパート・擬似パートなどとも呼ばれています。
 
擬似パートは、3年以内の有期雇用とされることも多く、短期で雇い止めできるように事業者側の都合で作り出されていることがあります(同一労働同一賃金の潜脱)。

2.パートタイム労働者の権利について

(1)年次有給休暇

パートタイム労働者は、労基法39条3項により、所定労働日数に比例して一定の日数について、年次有給休暇を取得することができます。


 

(2)社会保障

「雇用保健」については、所定労働時間が週20時間以上であり、6カ月以上引き続き雇用されると見込まれる者は被保険者となります。
 
「健康保険」「厚生年金保険」については、正社員の所定労働時間および所定労働日数のおおむね4分の3以上であることを基準に、就労形態や職務内容を総合的に勘案して、常用的雇用関係が認められる場合には被保険者として取り扱われます。

3.パートタイム・有期雇用労働法について

2020年4月1日に施行された「パートタイム・有期雇用労働法」。(中小企業においての適用は2021年4月1日から)
 
同一企業内において働く、正社員などの無期雇用フルタイム労働者と、パートタイム労働者や有期雇用労働者などの非正規雇用労働者の間で、基本給や賞与をはじめとするあらゆる待遇において不合理な待遇の差をなくす指針であり、そのための具体的なガイドラインも新たに策定されました。


 

(1)不合理な待遇差を禁止

同じ仕事をしているのであれば、雇用形態を問わず、同一の賃金を支給するという「同一労働同一賃金」の指針のもと、不合理な待遇の差を設けることを禁止します。
 
待遇差に不合理があるかを判断する基準として、「均衡待遇」と「均等待遇」の規定が整備されました。
 
(ア)均衡待遇とは
 
「職務内容」「配置の変更の範囲」「その他の事情」の3点を考慮して「不合理な待遇差を禁止」するもの。
職務内容には「責任の程度」も含まれ、例えば、正社員は繁忙期の残業や欠勤者の代理出勤を求められるが、非正規雇用労働者には求められない場合は責任の程度が異なるといえます。配置の変更の範囲は主に転居を伴う転勤が生じる立場であるか、その他の事情には、職務能力や成果、経験などさまざまな事情が含まれます。
 
(イ)均等待遇
 
「職務内容」「配置の変更の範囲」の2点が同じ場合は、「差別的な取扱い」を禁止するもの。


 

(2)待遇に関する説明義務の強化

労基法15条1項および同法施行規則5条では、労働契約の期間や賃金の決定、計算・支払方法、その他労働条件について、書面で明示することが使用者の義務としています。
 
パートタイム・有期雇用労働法ではさらに強化し、非正規雇用労働者は無期雇用フルタイム労働者との待遇差の内容や理由などについて、使用者に説明を求めることができます。

4.行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備

「パートタイム・有期雇用労働法」では、行政による助言・指導等や行政ADRの規定が改正・整備されました。
 
ADRとは法的なトラブルや民事上の争いについて、裁判ではなく、第三者である有識者が間に入ることで問題解決を図ることです。法改正により、労働紛争の解決に行政機関を活用する選択肢が広がりました。
 
労働問題においては、都道府県労働局をはじめ、裁判所や労働委員会、紛争調整委員会がその機関にあたります。