Labor Problem

Case 011 解雇無効を争って労働審判の申立てを行ったところ、裁判所は解雇は有効との心証であったものの、90万円の解決金を回収した事例

  1. 労働者
  2. 不当解雇
  3. 労働審判・訴訟

担当弁護士友岡 泰明
事務所福岡事務所

ご相談内容

男性

依頼主
Kさん(40代・男性) / 
職業:医療機関

医療機関に介護福祉士として入職した福岡県在住のKさんは、入職後、勤務先から何度も配置転換を命じられ、本来の職種で資格を有していた介護福祉士とは全く異なる職種での勤務をさせられていました。
Kさんは、不本意であったものの、勤務先からの配置転換に応じて勤務を続けていましたが、退職勧奨を受け、最終的には賞与支給日直前に解雇を言い渡されました。
Kさんは解雇に納得いかず、また、解雇の理由も明らかでなかったことから、当事務所に相談に来られました。

弁護士の活動

弁護士

当事務所は、勤務先に対し、解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当とはいえないため、解雇権の濫用に当たり無効であることを主張し、解雇以降の給与の支払いを求めました。また、Kさんは、勤務先から解雇理由証明書等を受領していなかったことから、当事務所は、勤務先に対し、解雇が無効であり解雇の理由となっている具体的な事実を書面で明らかにするよう求めました。
その後、当事務所は、労働審判を申し立て、勤務先が解雇理由として挙げている事実は1つ1つを取ってみればいずれも軽微なミスであり、解雇は無効であることを主張するとともに、度重なる異職種への配置転換や退職勧奨についても不法行為に該当すると主張し、損害賠償の請求も併せて行いました。
裁判所は、勤務先が医療機関であった点を重視し、Kさんのミスについて、全体としてみれば解雇が有効との判断もあり得るとのことであったため、配置転換や解雇までの経緯や解雇後も勤務先の対応に問題があったことや、あと数日で賞与が支給されるタイミングであったこと、有給休暇が残っていたことなどを主張しました。

解決結果

男性

その結果、最終的には、勤務先がKさんに対して90万円の解決金を支払うこと、Kさんが会社都合で退職したことを確認するという内容で調停が成立しました。

弁護士のコメント

弁護士

今回のケースのように、裁判所の心証が多少不利なものであっても、従前の経緯や勤務先の対応の問題点などを強調し、裁判所から勤務先に対して和解について説得を行うよう働きかけることで、不利な状況から解決金の支払いを受けられるケースもあります。
解雇のハードルは高いものですし、使用者側からすれば、労働者側から争われたときにかかるコストや労力も小さくないため、話し合いで中間的な解決に至ることも少なくないように思われます。
解雇を言い渡されたら、諦めずに、まずは労働問題に詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。