Labor Problem

Case 007 解雇された従業員からの解雇無効を前提とした労働者の地位保全、賃金仮払仮処分の申立てに対し、従業員の退職を前提に月額給与の10か月相当額の解決金を支払って解決した事例

  1. 労働者
  2. 不当解雇
  3. 仮処分

担当弁護士永野 賢二
事務所福岡事務所

ご相談内容

男性

依頼主
G社さん(50代・男性) / 
職業:福祉施設

AさんはG社に勤務していましたが、上司の指示に従わずに度重なるトラブルを起こすこと、他の従業員にパワハラ行為を行うこと、自己の業務とは無関係にG社の組織体制や運営を非難すること等から、G社としてはAさんの退職を希望していました。
そのため、G社は、Aさんに対してG社を退職するように退職勧奨を行いましたが、退職に関する条件(解決金の金額 G社は月額給与の6か月分を解決金で支払う旨提案していましたが、Aさんは月額給与の12か月分を希望していました。)が折り合わず、その結果、Aさんの上記言動を根拠に普通解雇を行いました。
この点、従業員の勤務態度や社内でのトラブル行為等を理由として適法に解雇することはかなり難しく、従業員の勤務態度等が社会常識に照らし明らかに逸脱しているとか、社内でのトラブル行為等について再三にわたる指導や懲戒処分(訓告・出勤停止・減給等)を行っても改善がみられないといった事情が証拠上認められなければ解雇が有効とは認められません。
これを本件についてみると、G社の組織体制や運営を非難する書面はAさんがG社に提出していたため存在していたものの、それ以外の証拠が不足している状況であり、解雇は困難と思われる状況でした。
その後、Aさんは、労働組合に加入し、労働組合よりAさんの解雇無効を求める団体交渉の申し入れがありました。この団体交渉においては、労働組合側は、Aさんの職場復帰を強く希望し解決金の協議を行わなかったため、折り合いはつきませんでした。
その後、Aさんは、弁護士に依頼して労働者の地位保全、賃金仮払仮処分を申し立てましたので、当事務所が同仮処分事件のG社の代理人に就任することになりました。

弁護士の活動

弁護士

当事務所は、Aさんの上記問題行動を詳細に主張立証することで、G社のAさんに対する解雇が有効である旨の答弁書を提出しました。
もっとも、上記のとおり、本件は解雇が困難と思われる状況であったこと、仮に賃金仮払仮処分が認められれば、本件解雇の有効性をその後の訴訟で争われる期間中、継続的にAさんに賃金の仮払いをしなければならなくなるためリスクが大きいこと等から、当事務所は、当初より、仮処分の審尋期日にてAさんと和解する意思があることを裁判所に伝え、審尋期日において和解協議を行うことにしました。

解決結果

男性

その結果、裁判所での審尋期日において和解の機運が高まり、裁判所から従前の和解協議を踏まえて月額給与の10か月分(G社提案6か月分、Aさん提案12か月分のほぼ中間値)の解決金を支払う旨の和解案が提示され、双方これに応じる形で解決することになりました。

弁護士のコメント

弁護士

日本では長く終身雇用制度が続いていたこともあり、解雇の有効性は未だに厳しく判断されています。
そのため、使用者側としては、従業員の勤務態度や問題行動等を理由に解雇したいと思っても、すぐには解雇せず、ある程度長い期間をかけて指導や懲戒処分(訓告・出勤停止・減給等)を繰り返す必要があります。
そのため、会社としては、問題社員の解雇に固執せず、問題社員が退職勧奨に応じない場合は、今回のケースのように解決金の支払いを条件に自主退職を促す方法も考えるべきと考えます。
問題社員を退職させたいと考えている会社は、解雇に踏み切る前に、是非、労務管理に詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。