Labor Problem

事例4(残業代に加えパワハラを理由とする慰謝料相当額を回収した事例)

  1. 残業代

1.ご相談に至る経緯

Dさんは遊戯店の店舗責任者として稼働していましたが、会社の社長から店舗の営業利益が少ないなどとして激しく叱責され、しまいには不正な会計処理の疑いまでもかけられたため、うつ状態に陥り、休職するに至りました。
Dさんは会社に戻れるようになるのか、このまま心身の不調が回復せず、会社に戻れなかった場合に自分の生活がどうなるのか心配になり、当事務所にご相談にこられました。

2.当事務所の活動

Dさんは、社長からの叱責が原因でうつ状態に陥っているため、労働災害の申請を行うことも考えましたが、精神疾患で労災認定を受けるには調査に時間を要するため、取り急ぎ傷病手当の申請を行うことにしました。
また、Dさんから事実関係を聴取した結果、パワハラによる慰謝料だけでなく、未払割増賃金を請求できる可能性が高いことも判明しました。
そのため、録音データなどのパワハラの証拠の分析とともに、会社から出退勤や店舗の開錠施錠のデータを取得し、未払残業代の計算を行い、会社に請求しました。
交渉の途中から会社側にも弁護士が就き、弁護士同士で交渉を行いました。

3.解決と成果

最終的には、Dさんは退職することとし、傷病手当金や退職金と別に、未払割増賃金と慰謝料をまとめて約8カ月分の給与に相当する額の解決金を支払ってもらうことで和解が成立しました。
解決金の金額については、店舗の開錠・施錠の時刻が記録として残っていたため、残業代としてある程度まとまった金額が認められたうえ、Dさんが社長との会話を録音していたため、パワハラの慰謝料相当額もある程度認めてもらうことができました。
また、受任通知の発送から解決金の支払いまで3カ月強と比較的短期間で解決することができました。

4.弁護士の所感

パワハラの被害を受けている労働者は潜在的にはかなり存在すると思われますが、通常は証拠がなかったりして訴訟などで慰謝料を請求することが難しいことも多々あります。
Dさんの場合は、録音を取っていたことが幸いしました。相手方に秘密で録音すると証拠にならないのではないか、と心配する方もいるかもしれませんが、少なくとも民事事件では脅迫や暴力、そもそも録音が禁止されている会議で録音するといった事情がないかぎり、証拠としての価値が否定されることはありません。
また、ご本人はパワハラの被害しか認識していなくても、労働時間や給与の支払額を確認すると、残業代の請求ができる場合もあります。
パワハラの慰謝料だけで民事訴訟を提起することが難しい場合でも、未払割増賃金の請求に合わせて慰謝料請求を行うことで訴訟をする意義がある場合もあります。   自分にどのような請求ができるか分からない場合でも、職場で困ったことがあったら弁護士にご相談ください。

文責:弁護士 埋田 昇平