1.遺留分侵害額請求とは
被相続人は、原則として贈与や遺言により自分の財産を自由に処分したり、遺したりすることができます。しかし、法定相続人の権利を守る必要もあるため、あまりにも相続人に不利益な事態を防ぐため、民法では、最低限の取り分を保障し、遺産の一定割合の取得を相続人に保証する「遺留分」という制度が定められています。つまり「遺留分」とは、被相続人が遺言によっても自由に処分できない、一定の範囲の法定相続人に対して最低限残さざるを得ない遺産取得分のことです。
例えば、遺言が配偶者に全く遺産を相続させない内容である場合、後で説明する通り、配偶者は遺留分権者ですので、この遺言は配偶者の遺留分を侵害していることになります。
遺留分侵害額請求をするかしないかは自由ですが、遺留分を確保したいというのであれば、他の遺留分を侵害されていない相続人などに対して遺留分侵害額請求を行うことになります。