Case 023 遺産分割協議に関する連絡を拒否する相続人に対して粘り強く交渉を行ったことで、比較的早期(受任から半年程度)に遺産分割協議を成立させた事例
- 遺産分割
担当弁護士松田 孝太郎
事務所大牟田事務所
ご相談内容
依頼主
Vさん(50代・女性)
福岡県在住のVさんの父(Aさん 被相続人)は令和元年に亡くなられ、Vさん、Aさんの妻(Bさん)、Vさんの弟(Cさん)の3名が相続人となりました。
もっとも、Cさんは、以前からVさんら家族と仲が悪く、どこで生活をしているのかも家族に知らせず連絡もつかない状況でした。
この点、被相続人の遺産としては、主に預金や自宅不動産がありましたが、Cさんと連絡を取ろうにも居場所も連絡先も分からないため、遺産分割協議自体が全く進められない状態でした。
そのため、Vさんは、弁護士を通してCさんと遺産分割ができないかということで当事務所に相談に来られました。
弁護士の活動
当事務所は、被相続人の出生から死亡までの戸籍を取り寄せ、Cさんの住民票を取得してCさんの住所を調査した上、Cさんに対して遺産分割協議を行うことになりました。
これに対し、Cさんは、過去の家庭内トラブルから家族と関わり合いたくない、話もしたくないとのことで、協議に応じてもらえない状況でした。
もっとも、当事務所は、Cさんと何度もやり取りをかわし、遺産分割手続の必要性・重要性を説明して協議への協力を求めました。
解決結果
その結果、最終的にはCさんも遺産分割協議に応じてもらえることとなり、自宅不動産はBさんに、預貯金はVさんとCさんで等分するという内容の遺産分割協議をまとめることができました。
なお、協議の最中にCさんと再度連絡が取れなくなったこともありましたが、所在調査をやり直してCさんに再度連絡を取り直し、粘り強く遺産分割協議を成立させました。
弁護士のコメント
今回のケースのように、遺産分割においては、生前のご家族の関係から没交渉になっている相続人やどこに住んでいるのかも不明な相続人がいるケースも散見されます。また、今回のように遺産分割の協議をしようとしても、協議自体を拒絶されて話し合いが進まないといったケースもあります。
このような場合、遺産分割調停を申し立てて裁判所から呼び出しを行ってもらうことも考えられますが、その行動がかえって反発を呼んで早期解決につながらないこともあります。
遺産分割協議においては、あくまで第三者である弁護士が交渉を行うことで、相続人間の感情的な対立を避けて手続をスムーズに進めることができる場合もありますので、弁護士への相談をお勧めします。