Case 016 元交際相手に多額のお金を貸すために金融機関から借り入れた借金が原因で自己破産申立てを行い、異時廃止・免責が認められた事例
- 自己破産
担当弁護士松田 孝太朗
事務所大牟田事務所
ご相談内容
依頼主
Pさん( ・女性)
/
職業:無職
債務総額:500万円以下
福岡県大牟田市在住のPさんは、結婚を前提に交際していた元交際相手の男性に頻繁にお金を貸すようになったことから、自分の収入を超えた借り入れを繰り返すようになりました。また、Pさんは、元交際相手にPさん名義のクレジットカードを預けており、元交際相手がこれをショッピング等に利用したことで、さらに借金の金額が膨らんでいきました。
その結果、Pさんの返済額は、毎月30~50万円にも膨らんでしまったことで今後の返済が難しいと考え、自己破産の申立てについて当事務所にご相談をされました。
弁護士の活動
当事務所の聞き取り調査の結果、元交際相手から言われるがままに銀行や消費者金融からお金を借りて元交際相手に貸し渡したり、自己のクレジットカードを元交際相手に渡したことが債務増加の主な原因であるため、免責調査型の管財事件となる可能性がありました。そのため、裁判所から管財事件とされた場合には、管財費用(20万円程度)を家族に援助してもらう約束を予め取り付けていただきました。
また、受任通知後に債権者2社より訴訟を提起されたため、Pさんの訴訟代理人として裁判手続を併せて行いました。
解決結果
当初の想定通り、免責調査型の管財事件となって管財人が選任され、Pさんの免責調査と元交際相手に対する貸金返還請求が検討されることになりました。
しかしながら、元交際相手の所在・連絡先を調査する方法がなく、仮に所在・連絡先が判明しても他にも多額の借金があることが容易に想定されることから、管財人の元交際相手に対する貸金返還請求は事実上回収は困難と判断されることになりました。
その後、Pさんの破産事件は異時廃止となり、無事に免責許可の決定がなされました。
弁護士のコメント
今回のケースのように、交際していた相手に自分の貯蓄や収入以上のお金を貸してしまい、その結果、金融機関からお金を借りてしまうといったケースはよく見受けられます。このようなケースでは、お金の貸し借りは口頭でなされ受け渡しも現金でされることが多いため、貸金の特定が難しく証拠も存在しないことが多いと思われます。また、貸金の特定や証拠が存在したとしても、相手方に資力がなく事実上回収できないことも多いです。
その結果、ご本人は、借り入れを行った金融機関の借金の返済に追われ、元交際相手に対して返済を求めることも難しく、どうすればいいのかと不安になられる場合も多いと思います。
このような男女関係が関わっているようなケースにおいては、自己管理の甘さや相手に対する愛憎入り混じった気持ちから、中々第三者に話すことに抵抗を感じる場合も多いと思いますが、ご自身の今後の生活のためにも早めに弁護士に相談することが大切です。
文責:弁護士 松田 孝太朗