回収不能に陥らないように、担保の設定や契約書の作成を
企業を経営する中で、取引先や顧客と、お金の支払いを約束する場面が必ずありますが、債権回収は約束どおりにお金を支払ってもらう作業です。
債権回収には、貸したお金を返してもらう、商品の代金を支払ってもらう、サービスの対価を支払ってもらうなど様々な種類がありますが、どれも相手方が自主的に支払ってくれればとくに問題ありません。
しかし、現実には相手方が約束したお金を支払ってくれないこともあります。
相手がちゃんと支払ってくれているときは気付かないものですが、担保なしの債務者が支払いを怠った場合の回収作業は一般の方が思っているより大変です。
契約書などの債権の存在を示す証拠がなければ、裁判による回収もままなりません。
取引相手が支払いを怠るはずがないと信用したくなる気持ちもわかりますが、あとで後悔しないためにも、担保の設定や契約書の作成など、万が一の備えをしておくことが安定した企業運営のためには重要です。
1:交渉による債権回収とは
債務者の状況を見極めて、適切な方法を選択することが大切です
<債権回収の話し合いに関するよくあるお悩み>
●「取引先が請求書の支払いをしてくれない」
●「取引先が支払いを分割払いにしてほしいと言うのですが」
●「取引先が資金はあるはずなのに支払いに応じてくれないのですが」
交渉による債権回収とは、話し合いで債務者の支払いを確保することをいいます。
交渉なので、訴訟などの法的手段による強制力はありませんが、その分コストも安く、債務者の性格や現在の状況次第で、債務者との関係を維持したまま債権回収を目指すこともできます。
また、契約通りの支払いを確保できなくとも、分割払いにして少しずつでも確実に支払ってもらう方法を目指す他、債務者に新たな担保を立ててもらう、債務者が有している債権を代物弁済として譲り受ける等、交渉次第で様々な方法で債権の回収を図ることができます。
しかし、中には、支払いが可能なのに支払いをしないという人も存在するなど、債務者の状況を見極めて、多くの選択肢の中から適切な方向性を選択して交渉する必要が生じる場合もあります。
例えば、内容証明郵便や弁護士の名前による支払いの催告などを利用して心理的圧力をかけるだけで、支払いがスムーズになされるケースもあります。
債権回収でお困りの場合は、一度弁護士に相談されることをおすすめします。
2:担保による債権回収とは
契約締結時には担保設定もお考えください
<担保による債権回収に関するよくあるお悩み>
●「債権者に支払い能力がないようなのですが」
●「契約締結の際に担保契約を設定したいのですがどうしたらよいですか」
●「支払いが見込めないので担保回収をしたいのですがどうすればよいでしょうか」
担保による回収はとは、債務者から直接支払いを受けるのではなく、契約を締結した債務者以外の保証人や、抵当権を設定した不動産等から、債権の回収を図る方法です。
債務者が任意に支払いをしない場合や、債務者に支払いのできる資金がない場合に、債務者と直接交渉をせずに、強制的に債権を回収できます。
担保による回収は、支払いがなされなくなった後というよりは、債務者が契約通りに支払いができなくなった場合に備えてあらかじめ設定しておく方法です。
担保による回収には、大きく分けて債務者の保証人などによる「人的担保による回収」と、土地や建物などによる「物的担保による回収」の2種類があります。
特に、物的担保については、上記の他にも様々な形での担保権設定が考えられますので、取引の形態や相手方の財産の状況などを調査して、より適切な担保を確保できるように契約締結の時点から考えておくことが大切です。
担保回収時だけでなく、契約締結時にも弁護士に相談されることをおすすめします。
3:強制執行による債権回収について
強制執行は実行の可能性をまず弁護士にご相談ください
<強制執行による債権回収に関するよくあるお悩み>
●「債権者が支払いをしてくれないので、強制執行をしたいのですが」
●「強制執行の手続きはどのようなものですか」
●「強制執行にはどれくらい時間がかかりますか?」
強制執行による債権回収とは、債務者の有する不動産等の財産や債務者が他の第三者に対して有している債権から、公的機関により強制的に債権の回収を図るものです。
メリットとしては、債務者の有する財産や債務者の第三者に対する債権を「強制的に」取り上げることができる点であり、債権回収における最終手段でもあります。
他方、公的機関を介して間違いのないように手続が進められますので、事前の情報収集や、債務名義獲得のための手続が必要になり、時間と費用がかかるというデメリットがあります。訴訟提起から強制執行が実現されるまでには、場合によっては数年の時間を要することもあります。
また、いくら強制執行であっても、債務者に財産がない場合には債権回収はできませんので、債務者の資産調査や、他の債権者の動向などについても注意する必要があります。
実行の可能性なども含め、専門家のアドバイスを受けながら手続を選択することをお勧めします。
4:その他の債権回収について
債権回収のための法制度は多様なため適切な解決策を見極めましょう
<その他の債権回収に関するよくある疑問>
●「支払督促はどのような手続きが必要ですか?」
●「民事調停とはどのようなものですか?」
●「和解時と書類の作成をお願いすることはできますか」
交渉や担保による支払い、強制執行による回収以外の回収方法には、例えば債務者から異議が出ない場合には訴訟を経ることなく債務名義を獲得できる「支払督促」や、当事者だけでは話し合いでうまく解決できない場合に裁判所が話し合いの場を設定する「民事調停」、当事者間で実質的に合意ができている場合に和解調書を作成して債務名義を作成する「訴え提起前の和解(即決和解)」など、状況に応じて様々な制度があります。
基本的に、訴訟より簡易迅速かつ低コストで実効性のある紛争解決を図る制度設計がされているのが特徴です。
債権回収のための法制度は、訴訟や強制執行以外にも多様です。
それぞれの手続にはメリットデメリットがあり、債務者との関係や債権債務の内容に応じて選択肢が増えるため、より適切な解決を考えるためにも、専門知識のある弁護士にご相談されることをおすすめします。
5:弁護士費用
疑問や不安を抱える前に、どうぞお気軽にご相談ください
弁護士に相談する際、どの程度費用がかかるのか、不安になる方も多いと思います。
当事務所では初回相談は無料です。まずはお気軽にお問い合わせください。
【当事務所の方針】
●ご相談者様の状況に応じ、最適な債権回収方法をご提案し執行します
●契約書作成などのお手伝いをいたします
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