1. 担保による債権回収とは
担保による回収は、債務者から直接支払いを受けるのではなく、契約を締結した債務者以外の保証人や、抵当権を設定した不動産等から、債権の回収を図る方法です。
債務者が任意に支払いをしない場合や、債務者に支払いのできる資金がない場合に、債務者と直接交渉をせずに、強制的に債権を回収できます。
債権回収
交渉による
債権回収総論
担保による
債権回収総論
担保による回収は、債務者から直接支払いを受けるのではなく、契約を締結した債務者以外の保証人や、抵当権を設定した不動産等から、債権の回収を図る方法です。
債務者が任意に支払いをしない場合や、債務者に支払いのできる資金がない場合に、債務者と直接交渉をせずに、強制的に債権を回収できます。
債務者の保証人など、第三者が債務者の主たる債務について責任を負っている場合、その第三者のことを「人的担保」といいます。
債務者が支払いをしない場合に、別の人間が代わってその債務の支払いをするというものです。
ただし、その保証人から支払いを受けられるかは、その保証人にどれだけの資力があるかに左右されます。
人的担保の主な例は、「保証」です。
保証は、保証契約を債権者と保証人の間で締結する必要があります。法律上、保証契約は必ず「書面」によって締結しなければならないとされていて、この要件を欠く保証契約は無効とされています。
保証人は、自らの保証契約に基づいて、債権者に対して債務を負っているので、債権者は直接保証人に対して、主たる債務の支払いを請求することになります。
ただし、保証人はあくまで債務者が債務の履行ができない場合に、責任を負う立場にあります。
保証人から、「まずは主たる債務者に対して請求をするように(催告の抗弁権)」「債務者に財産がある場合には、先にそちらから債権の回収をするように(検索の抗弁権)」という反論が可能です。
そのため、主たる債務者に対して先に裁判上の請求をする等して、どうしても債務を回収できていない場合に、はじめて保証人から債権回収が図れることになります。
保証契約においてよく耳にするのは、「連帯保証」です。
連帯保証人は、上記の保証人と同様に、主たる債務者の債務について責任を負います。
ただし、連帯保証が通常の保証と異なるのは、上記の「催告の抗弁権」および「検索の抗弁権」が認められていないことです。
つまり、債務者が支払いをしない場合には、いきなり連帯保証人に対して請求をすることができ、連帯保証人も債権者から保証債務の履行を求められた場合には、これを拒めないことになります。
このような人的担保の特性上、連帯保証人はほとんど主たる債務者と同様の地位に置かれるということになります。
人的保証からの債権回収は、基本的に主たる債務者からの回収方法と変わらず、交渉や支払い督促・訴訟等の法的手段による回収が考えられます。
その際、上記の「通常保証」か「連帯保証」かによって、支払いを受けられるかどうかが変わる場面がありますので、保証契約書をよく確認する必要があります。
「物的担保」とは、その名のとおり、土地建物や宝石類などの物を、主たる債務の担保として確保することです。
上記の人的担保の場合と異なり、物の価値を基準に担保権を設定するので、基本的に、担保権を設定した時点での価値を確保することができます。
その反面、特に不動産抵当などは多くの債務者が望むものなので、支払いが滞った段階では、担保に供する余剰価値のある財産がなくなっている場合も想定されます。
「抵当権」が設定されるのは、土地建物といった不動産です。
一般的に不動産は価値が大きいので、抵当権が設定されることが多くあります。
不動産に抵当権が設定されると、その旨の登記をすることになります。これを法務局において確認することで、どの不動産に誰が抵当権を設定しているかを把握することができます。
抵当権が設定された不動産について、担保権を実行する場合は、裁判所に競売を申し立て、その売却代金から債権を回収するという手順になります。
そのほか、よく担保権として設定されるのが「質権」です。
法律上、不動産についても質権を設定することができますが、質権の設定のためには占有の移転が必要なため、もっぱら占有の移転及び保管が容易な動産において利用されます。
質権の実行方法は、原則として競売です。ただし、目的物が安価で競売により費用倒れになるような場合には、簡易な実行方法を裁判所に請求することもできます。
上記のとおり、物的担保からの債権回収方法は、競売等一定の手順が法定されている場合がほとんどです。担保権を有しているからと言って、一方的に目的物を処分しないように注意が必要です。
以上のように、担保による回収は、支払いがなされなくなった後というよりは、債務者が契約通りに支払いができなくなった場合に備えて、あらかじめ設定しておく方法です。
特に、物的担保については、上記の他にも様々な形での担保権設定が考えられます。取引の形態や相手方の財産の状況などを調査して、より適切な担保を確保できるように、契約締結の時点から考えておくことが大切です。