Case 004 遺言執行者の代理人として、疎遠な相続人間の遺言執行を公平中立な立場でスムーズに行った事例
- 遺言執行
担当弁護士堀 大祐
事務所長崎事務所
ご相談内容
依頼主
Dさんさん(90代・女性)
長崎県在住のDさんは被相続人(Dさんの夫)の配偶者ですが、被相続人は、生前、公正証書遺言を作成されており、同遺言書によってDさんを遺言執行者に指定していました。
その後、被相続人は死亡しましたが、被相続人には離婚歴があったため、Dさんはそもそも全ての相続人を把握できない上、どのように遺言執行者として手続きを進めていけばいいか分からなかったため、当事務所にご相談に来られました。
なお、遺言の内容は、Dさんに全ての財産を相続させるという内容でした。
弁護士の活動
当事務所は、どの市町村に戸籍の取り寄せをすべきかを調査した上、戸籍の取得を進めて相続関係図の作成を行いました。
また、当事務所は、並行して被相続人の遺産を調査して遺産目録を作成しました。
その後、当事務所は、各相続人に対して、相続関係図・遺産目録を添付した上、公正証書遺言、遺言執行の内容等を書面で通知して遺産である不動産の移転登記等の名義変更手続きを行いました。
なお、上記のとおり、遺言の内容がDさんに全ての財産を相続させるというものでしたので、他の相続人から遺留分減殺請求を受ける可能性、その際の請求額の概算、請求された場合の対応方法をDさんに予めお伝えしました。
解決結果
その結果、被相続人の遺言の趣旨通りの遺言執行を迅速かつ適正に完了することができました。
弁護士のコメント
今回のケースのように、相続人間が疎遠であるにもかかわらず遺言執行者が遺言者の親族であった場合、その親族が遺言執行者としてどのような手続きを行えばよいか分からず相談に来られることがあります。
遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有するという強い権限を持つ一方(民法第1012条1項)、遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならず(民法第1007条1項)、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない(民法第1007条2項)などの義務も有しています。
そのため、遺言執行者に選任されているけど執行手続きがよく分からないという方がいらっしゃる場合は、速やかに弁護士に相談されることをおすすめします。