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Inheritance

Case 021 開封済みの自筆証書遺言の検認手続きを行い、遺産(不動産・預貯金等)の名義を相続させる旨遺言書に記載されている相続人に変更させた事例

  1. 遺言
  2. 遺言執行

担当弁護士永野 賢二
事務所久留米事務所

ご相談内容

男性

依頼主
Tさん(50代・男性)

福岡県在住のTさんの叔父(被相続人)は令和3年に亡くなられ、Tさん(代襲相続)を含めた叔父・叔母等の合計8名が相続人となりました。なお、被相続人は独身で配偶者・子はいませんでした。
この点、被相続人は、生前に自筆証書遺言を合計4通作成しており、うち2通は既にTさんを含めた一部の相続人によって開封されていました。なお、開封された遺言書の内容は、いずれも被相続人の全ての財産をTさんに相続させるという趣旨のものでした。
また、被相続人の遺産として共同住宅(アパート)・預貯金(約2000万円)等が存在していましたが、Tさんは、これらの遺産の名義を自己に変更したいとのことで、当事務所に相談に来られました。

弁護士の活動

弁護士

被相続人の遺言書は、①平成14年10月、②平成18年10月、③平成20年11月、④平成25年3月に作成されており、①と④の遺言書のみが開封されている状況でした。
そのため、当事務所は、Tさんに対し、②、③の遺言書を開封しないように指示した上、念のため、①から④の遺言書全てについて、家庭裁判所に対して検認の申立てを行いました。

解決結果

男性

家庭裁判所での検認手続きの結果、①から④の遺言書は、言い回しは異なるものの、被相続人の全ての財産をTさんに相続させるという趣旨のものばかりでしたが、遺言執行者については特に記載はありませんでした。なお、他の相続人は、検認手続きにはどなたも出席されませんでした。
そのため、当事務所は、最新の遺言書(④)は既に開封されていたものの、開封済みの遺言書と開封後の遺言書の筆跡、書き換えやすり替えの可能性等も併せ鑑みれば、被相続人がTさんに全ての財産を相続させたいという意思は一貫していると判断し、各種遺産のTさんへの名義変更手続きを行いました。
なお、金融機関の一部については、遺言執行者の選任を求められたため、別途家庭裁判所に対して遺言執行者の選任を申し立て(遺言執行者は当事務所の弁護士)、Tさんに対する預金の名義変更を行いました。

弁護士のコメント

弁護士

自筆証書遺言書は、「家庭裁判所において相続人の立会いの下で開封(検認)しなければならない」と法律で定められており、これに違反(開封)した場合には、5万円以下の過料(罰金)が課せられることもあるので十分にご注意ください。なお、検認が必要とされている理由は、遺言書が本物かどうか・誰かの都合のいいように書き換えられていないかを確かめる必要があるからです。
今回のケースでは、開封済みの遺言書の真正を争う相続人がいなかったため、スムーズに名義変更を行うことができましたが、遺言書の真正(本物かどうか)を争う相続人が出てくるケースも考えられます。
そのため、被相続人の死亡後に自筆証書遺言を発見した場合は、遺言書の開封は絶対に行わずに弁護士に相談されることをお勧めします。
松本・永野法律事務所では遺産相続に関する相談は初回無料で行っていますので、遺産相続でお困りの方は当事務所にご相談ください。