Case 026 遺産分割協議がまとまらずに遺産分割調停を申し立て、協議段階での相手方の代償金の提示額から大幅に増額(約600万円)した金額で遺産分割調停を成立させた事例
- 調停・審判・訴訟あり
- 遺産分割
担当弁護士堀 大祐
事務所長崎事務所
ご相談内容
依頼主
Yさん(40代・女性)
長崎県在住のYさんは、亡くなった父親(被相続人)であるAさんの遺産相続について当事務所に相談に来られました。
Aさんは、Yさんの幼少期にYさんの母親と離婚し、その後、Yさんは母親に育てられました。
AさんとYさんは、その後は全く交流はなく、Aさんは養育費の支払いもしていませんでした。
一方、Aさんは、その後再婚し、再婚相手との間に2人の子をもうけました。
その後、Aさんは亡くなりましたが、Yさんは、Aさんの再婚相手(以下、その子らも含めて相手方といいます。)から突然連絡を受け、Aさんは賃貸マンションを所有していたが負債があるので相続放棄をするように勧められました。
YさんがAさんの詳細な財産開示を求めたところ、相手方は、代理人弁護士を通じてAさんの遺産分割にあたって、代償金350万円を支払う旨の提案を行いました。
そのため、Yさんは、相手方を信用できないとして、Aさんの遺産について適切な遺産分割を求めたいと考え、当事務所に相談に来られました。
弁護士の活動
まず、当事務所は、相手方から言われた賃貸マンションの債務額を確認するため、信用情報機関に開示請求を行って負債の額を調査しました。
その結果、Aさんの相続財産が上記負債額を優に上回っていたことが発覚したため、当事務所は、相手方に対し、法定相続分に従った代償金の支払いを求めました。
これに対し、相手方は、相手方がAさんの財産形成に寄与したため、この点を遺産分割協議にあたって考慮するべきであるとの主張(いわゆる寄与分の主張)を行いました。
そのため、当事務所は、当事者間の協議で遺産分割をまとめることは困難であると判断し、相手方代理人に遺産分割調停で話を進めたい旨伝えたところ、むしろ相手方より遺産分割調停の申し立てがなされました。
上記調停において、相手方は、親族からのAさんの負債を相手方が返済したこと、Aさんの面倒を見たこと等から寄与分が認められるべきであるとの主張をしました。
これに対し、当事務所は、親族からのAさんの負債については裏付け資料が存在しないこと、Aさんの面倒を見たことは裁判例に照らせば寄与分としては認められないとの反論を行いました。
解決結果
その結果、相手方は、寄与分の主張を取り下げ、Yさんに対し、法定相続分に従った代償金として960万円を支払うとの内容で遺産分割調停を成立させ、協議段階で相手方から提案があった代償金額(350万円)から610万円もの大幅な増額に成功しました。
弁護士のコメント
適正な遺産分割を行うためには、被相続人の資産や負債の状況を正確に把握することが大事です。
今回のケースのように、相続人が被相続人と生前にあまり関りがない場合、被相続人の遺産の内容が全く分からないことも少なくありません。
相続問題に詳しい弁護士にであれば、遺産内容の確認のためにどのような調査を行えばよいか熟知しており、弁護士会照会を利用した遺産調査を行うことも可能です。
相続問題でお困りの方は、早期に相続問題に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。