Case 024 生前に被相続人の身の回りの世話をしていた叔母(相続権なし)が行方不明の相続人の失踪宣告を申し立て、相続財産管理人を選任して、特別縁故者として3500万円の財産分与を受けた事例
- 特別縁故者
- 相続財産管理人
- 調停・審判・訴訟あり
担当弁護士北島 好書
事務所朝倉事務所
ご相談内容
依頼主
Wさん(80代・女性)
Wさんの甥である被相続人Aさんには唯一の相続人として父親(Bさん)がいましたが、Bさんは長年に渡って行方不明となっており、連絡が取れない状況になっていました。
Aさんの生前にAさんの身の回りの世話をしていたWさんとその息子さんは、Aさんには相続財産があるが自分たちは相続人ではないので、Aさんの財産をどうしたらよいか分からず当事務所へ相談に来られました。
弁護士の活動
まず、当事務所は、Aさんの相続人調査を行ったところ、唯一の相続人として父親(Bさん)が存在しており、戸籍上は死亡も確認できませんでした。
もっとも、Wさんの話によれば、Bさんは長年行方不明とのことでしたので、住民票の取得、その他親族への聞き取り調査を行いましたが、Bさんの所在は分からないままでした。
そのため、当事務所は、Bさんの最後の住所地であった家庭裁判所にBさんの失踪宣告を申し立て、約9か月で失踪宣告が確定し、Aさんの相続人は法律上存在しない状態になりました。
次に、当事務所は、Aさんの最後の住所地であった福岡家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申し立て、Aさんの遺産の管理を相続財産管理人に引き継いでもらいました。
その後、相続財産管理人は、Aさんの遺産を現金化する手続を進め、約2年半後にはAさんの相続人不存在も確定しました。
そのため、当事務所は、Wさんとその子どもさん達を申立人として、Aさんとの生前・死後の関わりを詳細に聞き取り、特別縁故者への財産分与申立てを行いました。
解決結果
その結果、Wさん及びその子ども達は、Aさんの遺産から合計3500万円の財産分与を受けることができました。
弁護士のコメント
今回のケースのように、被相続人の相続人ではありませんが、生前に被相続人の身の回りの世話をしていたり、被相続人の死後も引き続き財産の管理を事実上されている方がいらっしゃるかと思います。
このような場合、複数の手続とある程度の期間は必要になりますが、相続人ではなくても、特別縁故者として、被相続人の遺産から財産分与を受けることも可能ですので、同じようなケースでお悩みの方は、是非相続問題に詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。