少年事件では、逮捕・勾留中に警察及び検察の取り調べが行われた後、必ず事件が家庭裁判所に送致されます。(全件送致主義)
そして、家庭裁判所は、審判を行うために必要がある場合には、観護措置をとることができますが、観護措置がとられると少年はほとんどの場合、少年鑑別所に収容されることになります。
観護措置は、審判を行うために身柄確保の必要性がある場合や、収容して心身鑑別を行う必要がある場合などになされます。しかし、逮捕・勾留手続きを経た少年の多くは、観護措置をとられることになり、そうなると多くの場合は1ヶ月近い期間にわたって、少年鑑別所に収容されることになります。
したがって、逮捕・勾留の段階で少年の弁護人となった弁護士にとって、観護措置をとられないように裁判所に働きかけを行うことは、大切な役割の一つといえます。
(ア)観護措置がとられた場合、1ヶ月近く少年鑑別所に収容された後に、審判が行われます。審判では、「非行事実」と「要保護性」の審理を経て、少年に対する処分が決定されます。
「非行事実」の審理とは
少年が非行を本当に行ったかどうかの審理です。したがって、少年が非行事実を否認しているような場合には、付添人は審判に向けて、少年が非行事実を行っていないことを立証するための活動を行います。
「要保護性」の審理とは
少年の再非行の危険性や矯正可能性、保護相当性(保護処分が有効かつ適切であること)などを指します。したがって、非行事実に争いがない場合には、付添人は審判に向けて、要保護性の解消に向けた活動、裁判所に対するその成果の報告・説得などを行います。
いずれの場合にせよ、少年鑑別所にいる少年と面会し、少年から話を聴くことは、付添人にとってもっとも重要な活動の一つです。
(イ)審判の期日には、少年側から少年、付添人、保護者が出席します。また、裁判官の許可により、学校の先生や少年の雇い主などが出席することもあります。
審判の進め方は裁判官によって異なりますが、少年に対する人定質問(本人確認のための質問)、黙秘権告知、非行事実の告知と、それに対する少年・付添人の陳述のほか、非行事実や要保護性を審理するために、少年やその他の出席者(保護者、先生、雇い主など)に対する裁判官、調査官、付添人からの質問などが行われます。
そして、非行事実に争いのない一般的な少年審判の場合、審理をした期日に、そのまま決定が言い渡されます。