1.少年院とは
少年事件では、審判により少年に対する処分が下されますが、その中でもっとも重い処分が少年院送致です。
あとで説明するように、少年院にはいくつかの種類がありますが、いずれにせよ少年院は、少年の再非行を防止するための施設であり、非行を行った少年に対し、矯正教育を施します。
本項では、この少年院について詳しく説明していきます。
刑事事件・少年事件で
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刑事事件 ー 概要
少年事件 ー 概要
少年事件では、審判により少年に対する処分が下されますが、その中でもっとも重い処分が少年院送致です。
あとで説明するように、少年院にはいくつかの種類がありますが、いずれにせよ少年院は、少年の再非行を防止するための施設であり、非行を行った少年に対し、矯正教育を施します。
本項では、この少年院について詳しく説明していきます。
少年院は、収容する少年の年齢、心身の状況及び非行傾向に基づき、以下の4種類に区分されます。
(ア)初等少年院
おおむね12歳以上16歳未満の、心身に著しい故障のない者が収容されます。
(イ)中等少年院
おおむね16歳以上20歳未満の、心身に著しい故障のない者が収容されます。
(ウ)特別少年院
おおむね16歳以上23歳未満の、心身に著しい故障はないが、犯罪的傾向の進んだ者が収容されます。
(エ)医療少年院
おおむね12歳以上26歳未満の、心身に著しい故障のある者が収容されます。
少年院の収容期間は、短期処遇と長期処遇に区分され、さらに、短期処遇は一般短期処遇と特修短期処遇に区分されています。
一般短期処遇の収容期間は6か月以内、特修短期処遇の収容期間は4か月以内となっています。長期処遇の場合は、おおむね1年程度の収容期間ですが、短い場合には10ヶ月程度、長い場合には収容期間が2年を超えます。
(ア)一般短期処遇
一般短期処遇は、非行の傾向はある程度進んでいるものの、短期間の継続的・集中的な指導と訓練により、その矯正と社会復帰を期待できる者に対してなされます。
具体的には、①非行が常習化していないこと、②児童自立支援施設、特修短期処遇を除く少年院の収容歴がないこと、③反社会的集団に加入していないこと、④著しい性格の偏り及び心身の障害がないこと、⑤その他短期処遇になじまない要因がないこと、といった条件を満たすかどうかが考慮されます。
収容期間は6ヶ月以内ですが、標準的な教育予定期間は4ヶ月から5ヶ月程度です。
(イ)特修短期
特修短期処遇は、一般短期処遇の対象者よりも非行の傾向が進んでおらず、より短期間の継続的・集中的な指導と訓練により、その矯正と社会復帰を期待できる者に対してなされます。
具体的には、①非行が常習化していないこと、②児童自立支援施設・少年院の収容歴がないこと、③反社会的集団への加入がなく、かつ、深い関わりを有しないこと、④著しい性格の偏りおよび心身の障害がないこと、⑤開放処遇(閉鎖されていない開放的な環境での処遇)に適していること、⑥保護環境に関する大きな問題がないこと、⑦その他、特修短期処遇になじまない要因がないこと、といった条件を満たすかどうかが考慮されます。
特修短期処遇では、開放処遇が行われ、少年院の外で委嘱教育を積極的に行うこととされています。
収容期間は4ヶ月以内ですが、標準的な教育予定期間は2ヶ月から3ヶ月程度です。
(ウ)長期処遇
少年院に送致される少年のうち、短期処遇になじまない少年は長期処遇の対象となります。
長期処遇では、一般短期処遇と同様の基本的な処遇に加え、社会復帰を円滑にするため、出院後の生活において予想される問題に対処するための能力や知識、技能等を身につけさせるための処遇を積極的に行います。
①生活訓練課程、②職業能力開発過程、③教科教育課程、④特殊教育課程、⑤医療措置過程の5つの処遇過程が設けられ、それぞれの少年に適した分類処遇が行われます。
収容期間は2年以内ですが、通常はおおむね1年程度です。
少年院における少年の改善が進み、保護観察に付することが、本人の改善更生のために相当と認められるときは、仮退院が許されます。実際、少年院に収容された少年の大半は、仮退院で出院しています。
仮退院で出院した少年は、保護観察に付され、保護観察を継続する必要がなくなったと認められると、正式に退院を許されます。しかし、仮退院中に少年が遵守事項を遵守しない場合、再び少年院に戻されて収容されることがあります。
少年が矯正の目的を達したと認められると、退院が許されます。
また、原則として少年が20歳に達したときには、退院となります。ただし、送致後1年を経ていない場合は、送致のときから1年間収容を継続されることがあります。
以上のように、少年院には、非行傾向の程度や心身の状況に応じて様々な種類がありますが、少年を更生させるという目的は、どこの少年院も異なりません。
「少年事件の概要」の項でも述べましたが、少年法は少年の立ち直りを目的としており、犯罪者を罰することを目的とする成人の刑事事件とは目的が異なります。
これは、日本の法律が少年の可塑性(自分の起こした行為の問題点を反省して、立ち直っていける柔軟さ)を信じ、少年が更生することを期待していることの表れといえます。
少年事件に関わることになってしまった場合、ご家族や弁護士などがこのような気持ちで少年と向き合うことが重要です。