Divorce

Case 026 婚姻費用分担調停において、夫(自営業者)の水増し経費分等を加算した金額を夫の収入として主張し、月額約10万円の婚姻費用の増額に成功した事例

  1. 不倫・浮気
  2. 婚姻費用
  3. 離婚
  4. 養育費

担当弁護士福本 結
事務所久留米事務所

ご相談内容

女性

依頼主
Aさん(30代・女性)

福岡県在住のAさんは、自営業者である夫(Bさん)が不倫をしたことから、Bさんとの離婚と不倫相手(Cさん)に対する慰謝料請求をしたいとのことで、当事務所にご相談に来られました。

なお、Aさんは、Bさんは羽振りがいいが自営業での経費(接待交際費等)を多額に計上しているため、Bさんの確定申告における所得額が低く、Bさんの確定申告上の所得額を基準に婚姻費用や養育費を算出されると、支払額が低くなって今後の生活が困窮するのではないかと心配されていました。

弁護士の活動

弁護士

まず、当事務所は、裁判所に婚姻費用分担調停を申し立て、Bさんの確定申告の附属書類である総勘定元帳をもとにBさんの事業にとって明らかに不要であると思われる経費(水増し経費)や減価償却費等を収入として加算し、Bさんの収入が確定申告の申告所得額よりも高額であることを詳細に主張立証しました。

その後、Bさんから当事務所に早期に離婚してほしいとの申し出があったため、Aさんと協議の上、Bさんが婚姻費用(月額15万円)の未払分と離婚後も婚姻費用と同額の養育費(月額15万円)を支払うのであれば、Bさん及びCさんに対する不貞行為に基づく慰謝料請求を留保して離婚に応じる旨提案しました(本件では、子どもの年齢から換算すれば、婚姻費用と同額の養育費を毎月受領できれば、慰謝料を受領できなくても結果的にそれ以上の金銭給付を得ることができる状況でした。)。

解決結果

女性

その後、Bさんは当事務所の上記提案に応じ、Bさんに対する債務名義を確保するため(Bさんの養育費の未払いに対する強制執行を容易にするため)、これを前提とした公正証書を作成して解決しました。

その結果、婚姻費用については、Bさんの申告所得額を基準にした婚姻費用(月額約5万円)から10万円増額した月額15万円で、養育費については、Bさんの申告所得額を基準にした養育費(月額4万円)から11万円増額した月額15万円での合意を成立させることに成功しました。

弁護士のコメント

弁護士

婚姻費用や養育費の算定にあたっては、当事者の基礎収入が具体的にいくらなのかが問題になります。

もっとも、今回のケースのように配偶者が自営業者である場合等は、所得税等の税金を少しでも低額にするため、本来は計上すべきでない経費(事業とは関係のない支出等)を計上したり、計上してはいるものの収入に加算してよい経費や控除額(減価償却費等)があったり、そもそも売上額を正確に計上していなかったりして、配偶者の所得額が低額に押さえられている場合があります。

そのため、このような場合は、どれが収入に加算してよい経費や控除額なのか、総勘定元帳等を詳細に検討した上で明らかに事業とは関係のない経費を発見してこれを積算する等の専門的な知識が必要となることがありますので、離婚・男女問題に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めします。
松本・永野法律事務所では、離婚・男女問題に関するご相談を初回無料で行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。