1 監護権について
親権とは、未成年の子を看護教育するために、その父母に認められた権利義務の総称のことをいいます。親権には財産管理権と身上監護権があり、監護権とは、親権のうち身上監護権、すなわち、子の近くにいて世話や教育をする親の権利義務のことを指します。
離婚する場合、必ずどちらか一方の親を親権者として定めなければなりません。
監護権は、親権の一部ですから、原則として親権者が監護権者としてこれを行います。一般に、親権者と監護権者は一致していたほうが、子の福祉に資すると考えられているからです。
もっとも、親権者と監護権者を分けたほうが、子の福祉に資する場合もあることから、監護権者を定める手続きが用意されています。
離婚する前の別居中の夫婦間であっても、子の監護権者を決めることはできます。ただし、婚姻中は父母の両方に親権があるので監護権も両方に帰属しています。したがって、この場合の監護権者の指定は事実上の監護を行う者を定めているにすぎず、原則通り、共同で親権を行使しなければならないので、監護権者を指定する法的な意義は乏しいものといえそうです。ただし、別居中の夫婦の間で子の奪い合いになり、子の監護者の指定調停が申立てられることは少なくありません。