2.住宅建築に関する規制
住宅は場合によっては倒壊等で、居住者や近隣居住者等の生命・身体・財産等に危険を及ぼすおそれがあるため、その建築については建築基準法等によって様々な規制がされています。
(1)建築基準法とは
建築基準法は、住宅を含む建築物の構造等に関して最低限の基準を規定して、国民の生命・健康・財産の保護を図る目的で規定されています。
(2)建設業法とは
建設業法では、建設業を営む者の資質の向上や建築工事の請負契約の適正化等を図り、工事の適正な施工を確保して建築主の保護を図ることを目的として規定されています。
(3)住宅の品質確保の促進等に関する法律
欠陥住宅問題の解消等を目的として、主に以下について規定されています。
(ア)住宅性能の表示制度
(イ)瑕疵担保責任の強化
(ウ)裁判外紛争解決機関の創設による紛争解決の適正迅速化
3.瑕疵担保責任について
「瑕疵(かし)担保責任」とは、売買や請負等の有償契約において目的物の引き渡しを受けた場合、その目的物について瑕疵、すなわち機能や品質、性能に欠陥があるときに、売主や請負人が負う損害賠償等の責任のことを指します。
(1)欠陥を判断する基準
瑕疵・欠陥とは、契約内容に適合していないこと、つまり契約内容どおりの品質や性能を欠いていることをいいます。
設計図面や仕様書に適合していなければ、たとえ構造安全性能に支障がなくとも、契約内容に違反していることから「欠陥」と評価されます。
「一般的に期待される性能」を備えていないといえるかの判断は、法令で定められている場合はそれを基準に、具体的基準が定められていない場合は確立している技術的基準がその判断基準となります。
また、違反であることを承知の上で契約した場合など、契約そのものが建築基準法令に違反していることもあります。その場合、消費者と業者のいずれが違反を主導したかが争点となることがあります。
もっとも、住宅供給業者は建築の専門家として、建築基準法令の規定を遵守する義務があり、知識や情報等の格差がある消費者にその規定を守らせる責務を担うべきであることから、原則として欠陥についての責任を負うとされています。
(2)瑕疵担保責任の期間について
民法では、買ったものに隠れた瑕疵がある場合、瑕疵を知ってから1年であれば売主に責任を追求できるとしていますが、住宅の場合一般的には契約で瑕疵担保責任を追求できる期間について定めていることが多く、その場合は契約で定めた規定が優先されます。
ただし、売主が不動産業者の場合、宅地建物取引業法の規定により、引渡し日から最低でも2年間は瑕疵担保責任を負わなければなりません。
また、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」では、住宅の構造上の主要な部分、または雨もりの部分についての欠陥に対して、引渡したときから10年間は瑕疵担保責任を負わなければならないと規定されています。
(3)損害となる費用について
欠陥についての損害賠償だけでなく、欠陥を原因に生じた費用も損害の対象となります。補修費用、補修機関の移転費用、欠陥についての調査費用等が損害として挙げられます。