1. 医療機関は、医学的な情報を開示して説明

患者側と医療機関側とで比べると、医療機関側が圧倒的に情報をもっています。
医学的知見の妥当性になったときに、医療機関側が有利であることは間違いありません。

しかし、医療機関側に情報が偏っていることは、裁判所もわかっているので、医療機関側に証拠を開示するよう求める傾向にあります。
この点について、医療機関側が証拠を隠している、といった心証を裁判所にもたれると、医療機関側に不利に働きます。
また、医療機関側で高度な医学的知識を披露しても、説明がわかりにくければ、審理が迷走するだけです。

そのため、医学的な情報を開示するだけではなく、患者側や裁判所側にわかりやすく説明する必要もあります。
当事務所は、複数の医療機関と顧問契約を締結しているため、医学的知見を入手しやすい環境にあります。それだけでなく、弁護士間の交渉や訴訟において、相手方や裁判所にわかりやすく説明する、ということを心掛けています。

2. 裁判所は、医療専門部や医療集中部を設置

上記のように、医療訴訟には医学に関する専門性が求められるため、大都市の地方裁判所には、医療専門部や医療集中部が設けられ、医療事件はその部でまとめて審理されています。
医療専門部や医療集中部は、医療訴訟の進め方に精通しているため、審理を迅速かつ効率的に進めることに役立っています。

福岡地方裁判所では、第3民事部が医療集中部として、医療訴訟を取り扱っています。裁判所に医療集中部が設置されていることからも、医療訴訟に関しては、弁護士も相応の専門性を有していないといけないことがおわかりいただけると思います。

3. 医療訴訟の在り方、進め方について議論

また、裁判所と弁護士会との間で、定期的に医療関係訴訟運営改善協議会が開催されています。
法律家だけではなく、大学病院の関係者なども出席し、医療訴訟の在り方、進め方について議論しています。

当事務所の弁護士は、医療関係訴訟運営改善協議会等、訴訟以外の勉強会などにも積極的に参加して、日々研鑽を重ねています。

4. 医療訴訟の進め方について

医療機関に特有の証拠として、カルテの開示があります。
患者側の立場からは、カルテの改竄(かいざん)などを疑われることもありますが、今や大規模な病院では電子カルテが導入され、改竄ができないようになっています。

また、中小規模の病院でも、カルテ開示請求の制度が設けられ、積極的にカルテが開示されるようになっています。
手書きのカルテの場合は、訴訟の際には、反訳(解読して訳したもの)も添付する必要があります。

カルテをもとに、診療経過一覧表を作成し、争点の明確化を図っています。
カルテから診療経過一覧表を作成するのは、まず最初に医療機関側で行わなければなりませんし、訴訟の行方も左右します。

当事務所では、争点の明確化に役立つような、わかりやすい診療経過一覧表の作成を心がけています。