1. 医師や医療機関の過失は、注意義務違反
医療訴訟で、医師や医療機関の責任が認められるのは、医師に過失があった場合で、過失は注意義務違反とも呼ばれます。
どのような注意義務があるのかは、基本的に患者側が設定し、医師や医療機関がどういった点で注意義務に違反したのか、具体的に主張立証しなければなりません。
患者側の弁護士にとっては、注意義務の設定と義務違反の主張立証が最初の関門です。そして、医療機関側の弁護士は、患者側が設定した注意義務を基準にして、反論を組み立てていきます。
そのため、現実的に履行しえないような注意義務が設定されている場合には、医療機関側の弁護士としては、そのような注意義務は法律上の義務とはいえない、と主張していきます。
注意義務の設定がずれたままだと、その後の争点が問題とされるまでもなく、患者側の敗訴で訴訟が終わります。