【顧問弁護士】部品メーカーと製造物責任(製造・卸売・販売業)

【顧問弁護士】部品メーカーと製造物責任(製造・卸売・販売業)

国際競争が激しくなり、技術革新のペースは昔よりも早くなっています。

今や、製造業であっても一社で部品の製造から製品の組み立てまで行うということはなく、複数の資材加工業者や部品メーカーが部品を供給し、各社の技術を持ち寄って製品を製造することが通常です。

部品メーカーと製品メーカーの関係も流動的になっており、部品メーカーにとって、製品メーカーとどのような関係を構築していくかが重要です。

製造物責任

A社がある機械の部品を開発・製造して機械メーカーであるB社に納入したところ、その部品に欠陥があり、機械が発火するなどして、機械の利用者に損害が生じました。

この場合には、A社、B社ともに、製造物責任法に基づき、機械の利用者に対して損害賠償責任を負う可能性があります。

製造物責任法は、製品に欠陥があった場合に、消費者が製造業者に対し、直接損害賠償請求しやすくするために制定された法律です。

民法では、製品に欠陥があったとしても、製造業者の過失が認められなければ製造業者に損害賠償責任は認められませんが、製造物責任法では、製造業者の過失は要件とされておらず、消費者が製造業者の責任を追及しやすくなっています。

機械の利用者は、製造物責任法を根拠として、機械に欠陥があり、その欠陥によって損害を被ったこと主張立証することができればB社に対する損害賠償責任が認められることになります。

また、A社が製造した部品の欠陥によって利用者に損害が発生したことが主張立証できれば、A社に対しても製造物責任法における責任を問うことができます。

製品メーカーと部品メーカーの関係

機械メーカーであるA社としては、第一に世間の消費者一般の信用を失うことを回避したいと考えます。

そのため、製品に欠陥がある可能性が高いとなれば、機械利用者からのクレームに対して、メーカーとしての責任を大きく争わず、修理や交換あるいは返金等の対応を行うことになります。

このように機械の利用者に対する補償を行った後で、製品メーカーと部品メーカーとの間で問題が発生することがあります。

たとえば、A社が機械利用者に対する補償金として、1000万円を支払ったとします。メーカーとしては、部品メーカーであるB社に対し、部品の欠陥によって1000万円の損害を被ったとして、損害賠償請求します。

また、A社からB社に対し、機械利用者に支払った補償金だけではなく、調査費用や補償のための交渉に要した人件費なども加算されて請求されるかもしれません。

部品メーカーが端末利用者に直接接触することはほとんどないので、部品メーカーからは機械利用者にどのような損害が生じたのか、はっきりわからないということが多いと思います。

製造業者と一般の消費者の間には、製品に関する技術情報の点で製造業者が圧倒的優位に立っているため、製造物責任法のように、法律によって消費者が保護されています。

その一方で、メーカーと部品メーカーの関係は対等なものとされ、特段の法律的な手当てはされていません。

ところが、現実には、部品メーカーと機械メーカーとの間にも、企業の規模によって、取引の関係上力関係が厳然と存在することがあります。

製造物責任の後処理において、機械メーカーから部品メーカーに対し、こうした取引上の力関係によって責任が押し付けられると、部品メーカーとしては予期せぬ損害を被るおそれがあります。

逆に、部品メーカーの方が取引上の力関係が強い場合には、機械メーカーが製造物責任による損害を一手に負担するというおそれもあります。

こうした不測の損害を避けるために、部品メーカーとメーカーとの間で、契約書によって損害賠償の範囲や損害額の決め方を事前に決めておくことが有効です。

製造物責任法などの法律があるため、消費者との関係で責任を否定することは難しいのですが、部品メーカーと機械メーカーの間であれば、契約によって責任を負う範囲を限定することが可能なのです。

取引先との交渉について、弁護士に相談することに抵抗がある事業者の方も多いかもしれませんが、法律家のアドバイスを聞くことでかえって冷静な話し合いをすることができます。

取引上、不利な立場に立たされるおそれのある中小の製造業の皆様にこそ、常日頃から弁護士に相談できるような体制を整え、製造物責任が問題となるようなケースに備えていただきたいと思います。