01.製造業界におけるリスク
① 仕入れ・調達における契約不履行と供給リスク
製造の起点となる原材料や部品の仕入れ契約に関するリスクです。特に、納期遅延によって工場ラインが停止した場合の損害賠償規定や、納入された部材に不良があった場合の返品・交換期限が契約書で曖昧なケースも少なくありません。こうした不備は、欠品による機会損失や不良在庫の負担といった経営的な損失に直結します。
② 販売代金の未回収リスクと債権保全の不備
製造業において経営上大きな影響を及ぼすのが、納品した製品の代金が回収できない事態です。取引先の倒産に備えた「所有権留保(代金完済まで商品の所有権を自社に残す特約)」の記載漏れや、納品後の検品基準が曖昧なために「微細な傷」を理由に支払いを拒まれるトラブルが生じるケースも少なくありません。債権保全の仕組みが不十分だと、連鎖倒産のリスクが高まります。
③ 設備投資・工場不動産に関わる契約および資産リスク
高額な機械導入や工場の土地建物に関するリスクです。機械のスペック(性能保証)を契約で明確にしないまま導入し、「期待した能力が出ない」といったトラブルに発展する事例も見られます。また、工場の賃貸借における退去時の原状回復費用(大型機械の撤去)や、自社工場の土壌汚染問題などが、後に多大なコスト負担となる可能性があります。
④ 製造物責任(PL法)と製品事故・消費者トラブル
製造した製品が原因で怪我や火災が発生した場合、製造物責任法(PL法)に基づく多額の損害賠償やリコール対応を求められるリスクです。また、BtoC取引においては、根拠の不明確な返品要求やインターネット上での風評被害といったクレーム対応も増加しており、対応を誤るとブランドイメージに致命的な打撃を及ぼす恐れがあります。
⑤ 労務管理の不備と外国人労働者特有の法的リスク
工場現場特有 of 着替え時間や清掃時間の労働時間性、未払い残業代をめぐる紛争リスクです。また、外国人技能実習生等を受け入れている場合、実習終了後の再来日に向けた金銭貸付の運用が法令に抵触するケースや、失踪に伴う契約トラブルが発生しがちです。安全配慮義務違反(労災)も含め、現場の運用と法の乖離が大きな経営リスクとなります。
⑥ 従業員による内部不正・横領と統制の不備
「モノ(在庫・材料)」と「金」が常に動く現場では、内部統制の隙を突いた従業員による現金の横領や、在庫の不正転売、背任行為が起きやすい傾向にあります。これらは発覚しにくく、長期間にわたって損失を膨らませる特徴があり、発覚時の解雇や損害賠償請求の手順を誤ると、逆に会社側が訴えられるリスクも孕んでいます。