01.「瑕疵担保」から「契約不適合責任」へ。何が変わったのか?

2020年の民法改正により、従来の「瑕疵(かし)担保責任」は「契約不適合責任」へと改められました。かつての「瑕疵」は「隠れた欠陥」を指していましたが、現在は 「契約の内容(種類・品質・数量)と適合しているか」 が全ての判断基準となります。

1-1. 発注者が行使できる「4つの権利」

施工内容が契約と適合しないと判断された場合、発注者は以下の4つの権利を行使できます。

追完請求権(修補請求): 「直してください」という原則的な請求です。
代金減額請求権: 修理不能や拒否の場合に「その分安くしろ」と請求されます。
解除権: 重大な不適合により契約目的を達せない場合、契約を白紙に戻されます。
損害賠償請求権: 修理期間中の費用などを金銭で請求されます。

1-2. 責任を負う期間(消滅時効)の注意点

原則として、 「不適合を知った時」から1年以内 に通知が必要です。ただし、引き渡しから10年で時効消滅となります。施主が気づいてから1年以内であれば、引き渡しから数年後でも責任を問われる可能性があるため注意が必要です。

02.よくある施工トラブルと業者側の反論ロジック

施主からのクレームに対し、施工ミスではなく経年劣化であるといった適切な反論が必要なケースもあります。

2-1. 雨漏り・漏水への対応

原因特定が困難なトラブルですが、以下の点を証明できれば責任を免れる可能性があります。

● 引き渡し後の施主による増改築が原因である
● 台風などの自然災害による破損である
● メンテナンス不足による経年劣化である

2-2. ひび割れや「イメージ違い」

コンクリートのヘアクラックは構造上の欠陥ではないと判断されることが多いです。また、「イメージと違う」という主観的なクレームに対しては、 「仕様書(品番指定)通りの施工」 である事実が最大の防御となります。打合せ記録を必ず残すことが重要です。

03.クレーム対応の初動を誤らないために

トラブル発生時、安易に「すぐ直します」と約束すると、後で不利に働くことがあります。謝罪は道義的な範囲に留め、 「原因調査」を優先する のが鉄則です。また、LINEや管理アプリの履歴など、変更指示の証拠を書面に残す習慣をつけましょう。

04.裁判泥沼化を避ける「建築ADR」という選択肢

裁判以外の解決手段として 「建築ADR(裁判外紛争解決手続)」 の利用が増えています。

4-1. 建築ADRのメリット

専門家の関与: 建築士などの専門家が技術的な側面から解決案を提示します。
非公開・迅速: 数ヶ月から半年程度での解決を目指せます。
柔軟な解決: 実情に即した和解が可能です。

05.建築訴訟・トラブル解決のよくあるケース

ケース①:施主支給の部材による不具合

状況: 施主支給の照明器具がショートし、「取付ミスだ」と損害賠償を請求された。
対応: 取付方法に問題がなかったことを現場写真で立証し、器具自体の初期不良と反論。
結果: 施工業者の責任なしとして解決。