個人再生

1 総論
  個人再生とは,返済が難しくなった過剰な債務を強制的に減免する,裁判上の債務整理手続です(個人再生手続を行う債務者を「再生債務者」といいます。)。
  自己破産と異なり,債務のうちの一部(2割程度)を分割払いする必要がありますが,財産を清算したり資格制限を受けたりすることがありません。
  そして,個人再生のもっとも大きなメリットといえるのが,持ち家を維持できる可能性があるということです。
  住宅ローンについては減免を受けないという条件ではありますが,住宅を保持しながらその他の無担保の債務については減免を受け,分割払いしながら生活の再建を図ることが可能です。
  以下では,個人再生手続きがどのような流れで進められるのかを説明していきます。
2 個人再生手続の種類
個人再生手続には,「小規模個人再生手続」と「給与所得者等再生手続」があり,いずれも破産の原因(支払不能等)が生じるおそれがある場合に申し立てることができますが,手続開始の要件が少し異なります。
小規模個人再生手続を利用できるのは,個人である債務者のうち,将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり,かつ,再生債権の総額が5000万円を超えない債務者です。
一方,給与所得者等再生を利用できるのは,小規模個人再生を利用できる債務者のうち,給与またはこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者であって,かつ,その額の変動の幅が小さいと見込まれる債務者です。
  このように,給与所得者等再生は小規模個人再生よりも要件が厳しくなっていますが,これは,小規模個人再生の場合には債権者の決議(再生計画に不同意の債権者が議決権を有する債権者総数の2分の1未満かつ議決権総額の2分の1以下である場合に可決されます。)が必要であるのに対し,給与所得者等再生はこのような決議が必要なく債権者の意向に関係なく利用できるからです。
  もっとも,手続きの流れはそれほど違いませんので,以下,説明していきます。
3 個人再生手続の流れ
(3)  再生手続開始の申立て
弁護士等に個人再生手続を依頼したら,まずは必要書面を揃えて裁判所に申立てを行います。
 申立ての書面には,再生手続開始の原因となる事実や債権者の氏名,債権額など,種々の情報を記載するため,申立人自身による書面の記載や,代理人である弁護士等との連絡が必要となります。
 これらの作業が円滑に進まないと,申立てが遅くなり,生活再建が遅れることにも繋がりますので,そのつもりで弁護士等の指示に従うことが大切です。
(4)  再生手続開始決定後の流れ
 上記の申立てが適法にされた場合,再生手続開始決定がなされ,以下のような流れで手続きが進みます。
オ  債権届出・調査
 再生手続が開始されると,債権者は,債権届出期間までに債権届出を提出することで再生手続に参加でき,再生債務者が申立時に提出する債権者一覧表に記載された債権は,届出がなくても届出があったものとみなされます(これらの債権者を「届出再生債権者」といいます。)。
 その後,届出債権を調査するための手続きを経て,再生債権額等が定まります。
 もっとも,このようにして定まった再生債権は,当該再生手続のために仮に定まったものにすぎず(「手続内確定」といいます。),納得のいかない再生債権者等が手続外で訴訟を提起することも可能です。
カ  再生計画案等の作成及び提出
 再生手続が開始されたら,再生債務者は遅滞なく,財産目録と所定の事項を記載した報告書を裁判所に提出しなければならないこととされていますが,これらについては,申立時に作成・提出したものを引用させる扱いが一般的です。
 その後,裁判所の定める期限までに再生計画案を作成して提出します。
 再生計画案は,減額された借金を再生債務者が返済する計画を提示するもので,弁済総額,弁済の方法等を記載しますが,弁済期は3か月に1回以上の頻度とし,原則として3年以内にすべての弁済を完了するものでなければならないとされています。
キ  決議または意見聴取
 小規模個人再生手続の場合,再生計画案は再生債権者による書面決議に付されます。そして,再生計画に不同意の債権者が議決権を有する債権者総数の2分の1未満かつ議決権総額の2分の1以下である場合に再生計画案が可決されます。
 これに対し,給与所得者等再生手続の場合,再生債権者による決議はなく,再生債権者に対する意見聴取が行われます。
ク  再生計画認可決定及び確定
 再生計画案が可決(小規模個人再生の場合)するか,意見聴取期間を経過(給与所得者等再生の場合)すると,特に問題がない限り裁判所による再生計画認可決定がなされます。
 再生計画認可決定が確定すると(通常は決定から1か月程度),再生計画の効力が発生し,再生債権は再生計画の内容に権利変更され,個人再生手続が終了します。
 その後は,再生債務者自身が,再生計画に従って再生債権者に対して弁済をしていくことになります。
4 まとめ
  以上が個人再生手続の大まかな流れになりますが,弁護士に相談に行ってから再生計画認可決定が確定するまで,早くても半年程度はかかることが多いです。
  また,個人再生手続は,認可決定が確定したらおしまいではなく,そこから再生計画に従った弁済が始まります。
  すべてが終了するまでの道のりは長いですが,借金を大幅に減額して生活を再建するための手続きですので,借金の返済に困っている方は積極的に活用を検討してみてはいかがでしょうか。