欠陥住宅問題

1 概要
 2005年に発覚した耐震偽装問題等,欠陥住宅に悩む消費者は多くいます。建築業界は,重層的下請け構造にあり,その労働力のほとんどを下請け業者に依存している状況であって,末端業者の受注価格にしわ寄せが生じてしまい,現場での手抜き工事や杜撰な工事を行って採算を合わせざるを得ない実態があるからです。
他方で,欠陥住宅の被害者にとっては,通常一生に一度のマイホームの購入で長期の住宅ローンを支払っているなかで,欠陥住宅問題を抱えることは,非常に大きな負担となってしまいます。
2 住宅建築に関する規制
住宅は,場合によっては倒壊等で居住者や近隣居住者等の生命・身体・財産等に危険を及ぼすおそれがあるため,その建築については,建築基準法等によって様々な規制がされています。
(1) 建築基準法
建築基準法は,住宅を含む建築物の構造等に関して最低限の基準を規定して,国民の生命・健康・財産の保護を図る目的で規定されています。
(2) 建設業法
建設業法は,建設業を営む者の資質の向上,建築工事の請負契約の適正化等を図ることで,工事の適正な施工を確保して,建築主の保護を図ることを目的として規定されています。
(3) 住宅の品質確保の促進等に関する法律
欠陥住宅問題の解消等を目的として,①住宅性能の表示制度,②瑕疵担保責任の強化,③裁判外紛争解決機関の創設による紛争解決の適正迅速化を目的として規定されています。
3 瑕疵担保責任について
瑕疵担保責任とは,売買や請負等の有償契約において,目的物の引き渡しを受けた場合にその目的物について瑕疵があるときに,売主や請負人が負う損害賠償等の責任のことを指します。
(1) 欠陥について
瑕疵・欠陥とは,契約内容に適合していないこと,つまり契約内容どおりの品質や性能を欠いていることです。取引上一般的に期待される性能を備えていないといえるかの基準は,法令で定められた具体的基準や定めがない場合は確立している技術的基準が瑕疵判断の基準となります。また,設計図面や仕様書に適合していなければ,構造安全性能に支障がなくとも契約内容に違反しており,欠陥と評価されます。
また,契約内容自体が建築基準法令に違反していることもあります。この場合,消費者と業者のいずれが違反を主導したかについて争いになる事があります。もっとも,住宅供給業者には,建築の専門家として建築基準法令の規定を遵守する義務があるところ,消費者との間には知識や情報等の格差があることに鑑みれば,住宅供給業者には建築基準法令を守り,守らせる責務があるというべきであるから,原則として欠陥についての責任を負うべきと解されています。
(2) 瑕疵担保責任の期間について
民法では,買ったものに隠れた瑕疵がある場合,瑕疵を知ってから1年であれば,売主に責任を追求できます。
もっとも,一般的には,契約で瑕疵担保責任を追求できる期間について定めているので,契約で定めた規定が優先されます。ただし,不動産業者が売主の場合,宅地建物取引業法の規定により,引渡し日から最低でも2年間は瑕疵担保責任を負わなければなりません。
また,「住宅の品質確保の促進等に関する法律」では,住宅の構造上の主要な部分または雨もりの部分についての欠陥に対して、引渡したときから10年間は,瑕疵担保責任を負わなければならないと規定されています。
(3) 損害について
補修費用,補修機関の移転費用,欠陥についての調査費用等が損害として挙げられます。
4 建売住宅の場合に利用できる制度
建売住宅とは,消費者が,住宅供給業者から,設計・施工内容の確定した住宅を購入する場合をいいます。
住宅供給業者から引き渡しを受けた後に,欠陥を発見した場合,まずは住宅供給業者に対し,補修、損害賠償などを要求できます。
そして,住宅供給業者が対応しない場合,宅地建物取引業保証協会に苦情を申し立てることが考えられます。宅地建物保証協会の行う「弁済業務」は,宅地建物取引業保証協会に所属する会員の取り扱った宅地建物取引業に係る取引に関する苦情を受け付け,宅地建物取引業保証協会が、会員の代わりに「取引に生じた債権」を弁済するという制度です。この「取引に生じた債権」には,瑕疵担保責任による損害賠償請求権も含まれますので,補修にかかる費用の填補を受けることができます。