Traffic Accident Case

事例27 死亡した被害者につき、粘り強い交渉により、裁判基準を超える死亡慰謝料を獲得した事例

  1. 慰謝料・損害賠償

依頼主<10代・男性>

事件の概要

福岡県在住の10代会社員の男性(Aさん)は、普通自動二輪車を運転し、信号機による交通整理の行われていない丁字路交差点を直進していたところ、同交差点を右折しようとした普通乗用自動車に気づきブレーキを掛けましたが、転倒して同自動車に衝突し、亡くなられました。

当事務所の活動

ご遺族の希望により、当事務所は、示談交渉に先立ち、自賠責保険の被害者請求を行い、同保険金3000万円を回収しました。
その後、当事務所は、上記自賠責保険金を超える部分の示談交渉を開始しました。

解決と成果

本件事案における主な争点は、死亡慰謝料でした。

当事務所の請求に対し、加害者側は、死亡慰謝料2700万円の回答を行いましたが、当事務所は、本件事故により10代の若者が突然命を絶たれたこと等を考慮して増額を求め、加害者側と粘り強く交渉を継続し、3000万円に増額することができました。
以上より、加害者側が、当事務所の主張を認める形で、ご遺族に対し、約6300万円(自賠責保険金を含む)を支払うとの内容で示談が成立し、ご遺族に満足いただける結果となりました。

なお、本件事案は、被害者側の過失が30%となることが予想されたため、訴訟手続によらず、話し合いによる解決(被害者側の過失20%)となりました。

弁護士の所感

死亡慰謝料は、死亡した被害者本人の慰謝料として構成するもの、民法711条の規定する近親者の固有の慰謝料として構成するもの、あるいはその両者を併せて主張するもの等が考えられますが、慰謝料額については、死亡被害者の近親者固有慰謝料も合わせた総額として基準化されており、東京地裁交通部でも主張の違いによって慰謝料の総額に差を設けることはしないとしています(「東京地裁民事第27部における民事交通事件訴訟の実務について」東京地裁民事交通訴訟研究会『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(全訂5版)』(別冊判例タイムズ38号)16頁)。

もっとも、最近の実務では、慰謝料基準を総額において上回る認定例が増加しつつあり、特に事故の態様が悪質な場合には、かなり上回る例も見られます。これは、裁判所が基準にとらわれずに金額を認定する傾向がやや見られるようになってきたためと考えられます。そして、本件事案はいわゆる「その他・独身の男性」に該当し、赤い本において、従来の基準額(死亡本人分、近親者固有分合計額)は2000万円~2200万円でしたが、最近の傾向としては、この範囲より高額な認定例が相当数見られるという印象があり、これは、若年被害者の場合は高めの金額に評価すべきことが多いことにあり、現在においては2000万円~2500万円が基準とされています。

以上のとおり、紛争解決の手段として、必ずしも訴訟手続が最善であるとは限りませんので、事案に即した適切な解決ができるよう、弁護士に相談して頂きたいと思います。

文責

弁護士 永野 賢二