Labor Problem

事例1(船員の未払残業代240万円が認められた事例)

  1. 残業代

1.ご相談に至る経緯

船員として働くAさん(50代男性)は、毎日9時間から10時間業務を行っていたにもかかわらず、残業代を全く支払ってもらっていませんでした。
また、Aさんは、雇用契約書、勤務先の就業規則を見たことがなく、自身が労働契約上どのような立場にあるのか、また勤務先が自身の労働時間をどのように把握しているのかも分からない状態でした。
Aさんは勤務先を退職後、勤務先に残業代を請求できないか相談に来られました。

2.当事務所の活動

船員として働くAさん(50代男性)は、毎日9時間から10時間業務を行っていたにもかかわらず、残業代を全く支払ってもらっていませんでした。
また、Aさんは、雇用契約書、勤務先の就業規則を見たことがなく、自身が労働契約上どのような立場にあるのか、また勤務先が自身の労働時間をどのように把握しているのかも分からない状態でした。
Aさんは勤務先を退職後、勤務先に残業代を請求できないか相談に来られました。

3.解決と成果

裁判では、始業時刻、終業時刻と休憩時間が争点となりました。   始業時刻について、当方は始発便の出航時刻の35分前から出港準備の作業を開始していたと主張したのに対し、勤務先は始発便出航前の労働時間は最大でも10分であると主張しました。
終業時刻について、当方は最終便到着後15分間片づけ作業を行ったと主張したのに対し、勤務先は最終便到着後の労働時間は最大でも10分間であると主張しました。
休憩時間について、当方は、到着後の片づけや出航前の準備に時間を要すること、船員法上、船員に停泊中の船への在船義務が定められていることを根拠に、目的地に到着後、次の出航までの停泊時間も労働時間に含まれると主張したのに対し、勤務先は、到着後と出航前の5分程度作業するだけで、それ以外の停泊時間は休憩時間であると主張しました。
本件では、1日の停泊時間が約4時間あったことから、停泊時間を労働時間に含めなければ未払残業代の発生自体認められない可能性もありましたが、停泊時間を労働時間に含めることを前提に、未払残業代240万円を支払ってもらう内容の和解が成立しました。

4.弁護士の所感

本件は、船員という特殊な労働関係にある方の事案でしたが、最終的には未払い残業代の発生を認めてもらうことができました。
未払い残業代を含め、賃金請求権は2年で消滅時効にかかってしまうので、早期に資料を収集し、時効中断の措置を取ることが必要になります。本件は、船員という特殊な労働関係にある方でしたが、労働時間を把握するためにどのような資料が存在するのか調査し、弁護士会照会まで行って資料を収集したことで早期に請求額を確定し、時効中断の措置を取ることができました。
また、裁判で争う中でも、船員法という、一般的にはなじみのない法令や、海運会社が通常備えるべき資料をうまく活用することで、Aさんが法定時間外労働をしていたことを立証することができました。
自分が残業代を支払ってもらえるのかわからない、という方でも弁護士の協力を受けることで正当な残業代の支払いを受けることができるという一例ではないかと思います。

文責:弁護士 埋田 昇平