松本永野法律事務所
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Inheritance

Case 006 消滅時効数日前に遺留分減殺請求権を行使した上、被相続人の生前出金を含めた遺留分額が認められた事例

  1. 調停・審判・訴訟あり
  2. 遺留分侵害額(減殺)請求

担当弁護士永野 賢二
事務所久留米事務所

ご相談内容

男性

依頼主
Fさんさん(60代・男性)

福岡県久留米市在住のFさんは、死亡したFさんの実父(被相続人)が生前に長男夫婦(長男の妻とも養子縁組している)に対し、被相続人が有する一切の財産を2分の1ずつ相続させる旨の公正証書遺言を作成していたことから、Fさん自身は何も請求できないのか確認したいとのことで相談に来られました。
なお、ご相談に来られた時点では、Fさんが上記公正証書遺言の存在を知ってから1年が経過するわずか4日前という状況でした。

弁護士の活動

弁護士

当事務所では、まず、遺留分減殺請求権の消滅時効を中断するため、委任日の翌日に長男夫婦に遺留分減殺請求権を行使する旨の内容証明郵便を送付しました。
その後、当事務所では、被相続人の遺産調査のため、被相続人名義の預貯金口座がありそうな金融機関をFさんから聴取し、金融機関から預金の取引履歴を取得しました。
その結果、被相続人の死亡日から数日前の時点で、被相続人名義の預金口座から約600万円もの現金が出金されていることが発覚しました。
そのため、当方は、上記現金出金を被相続人に無断で長男夫婦が行ったものとして、これを含めた被相続人名義の遺産目録(土地・預貯金・不正出金)を作成し、遺留分減殺請求調停申立てを行いました。

解決結果

男性

上記調停において、長男夫婦は、上記現金出金を含めた遺産総額(約2000万円)を争わなかったため、これを前提に算出した遺留分侵害額(200万円 法定相続分5分の1×2=10分の1)をFさんに支払う旨の調停を2回目の調停期日で早期に成立させました。

弁護士のコメント

弁護士

遺留分減殺請求権は、相続の開始及び減殺すべき遺留分侵害行為(贈与・遺贈等)があったことを知ったときから1年以内に行使しなければ、時効によって消滅する権利です。
本件は遺留分減殺請求権のわずか4日前にご依頼を受けた事案でしたが、相手方に内容証明郵便を送付する時間も必要ですから、本当に消滅時効ギリギリの状況でした。
また、本件は、被相続人から一切の財産を受領する相続人が被相続人の生前に被相続人名義の預金口座から現金出金を行っていたという事例です。
遺留分の算出にあたっては、まず、被相続人が死亡した時点の遺産総額がいくらかが問題となります。
今回のケースのように、被相続人の生前に被相続人名義の預金口座から現金を出金していた場合(現金出金の理由は様々だと思いますが)、これを見過ごして遺留分侵害額を算出すると、相手方に対する請求額が減少してしまいます。
そのため、遺留分減殺請求を行うにあたっては、被相続人の預貯金から生前出金されたものがあるかどうかを常に意識して手続きを進める必要があります。
詳しい点については、弁護士等の専門家に速やかにご相談をしていただければと思います。