Column

【顧問弁護士】労災と訴因減額(土木・建設業)

2019年8月29日
【顧問弁護士】労災と訴因減額(土木・建設業)

労災保険で補てんされる損害について

労働者が業務の遂行中に怪我したり、病気になったりしたとき、労働者は労働災害補償保険(労災保険)から保障を受けることができます。 労災保険では、治療費や休業損害、将来働けなくなった分の逸失利益などの補償を受けることができますが、慰謝料については労災保険からは支払われません。

慰謝料の額について

そのため、労働者が慰謝料の支払いを求める場合には、会社が直接対応しなければなりません。 慰謝料は精神的損害を補てんするものですから、怪我の程度や事故態様、事故後の対応に応じて金額は区々になるはずですし、金額の換算方法も人それぞれ違うはずですから、金額の定め方は難しい問題です。 もっとも、裁判になったときには、通院や入院の期間に応じて一定の基準が設定されており、その基準に基づいて計算することが一般的です。 また、後遺障害が認定された場合には、後遺障害に基づく慰謝料も発生しますが、これも裁判所では一定の基準に基づいて算定されます。

後遺障害の素因減額について

特に従業員の受傷の程度や症状が重篤で、後遺障害が残るような場合には、慰謝料の金額は高額になります。この場合、後遺障害等級そのものを争うことは難しいですが、後遺障害に基づく損害について争う余地はあります。 素因減額といって、もともと労働者側に持病などの障害の原因となるような要因がある場合に、公平の観点から一部減額するという方があります。 労働災害補償においてはこうした素因が認識されることなく後遺障害等級が認定されていることもあります。 労働者の方の健康保険における受診歴や、交通事故の自賠責保険の対応歴を見ると、労働者の方にもともとの持病や怪我があることが発覚することがあります。 受診歴や過去の交通事故歴まで調べることはあまり多くはありませんが、特に軽微な怪我や病気で重篤な後遺障害が認定された場合には素因が影響している可能性があります。 健康保険における受診歴や自賠責保険の対応歴を調査するため方法はいくつかありますが、どの方法を選択するにしても、弁護士に依頼することが必要です。 労働者の方を必要以上に疑う必要はありませんが、会社が直接賠償する場合には、その他の労働者の方との公平を図るためにも、弁護士に対応を依頼し、慎重に対応した方がいい場合もあります。