【顧問弁護士】レジの空打ちについて(製造・卸売・販売業)

【顧問弁護士】レジの空打ちについて(製造・卸売・販売業)

スーパーマーケットなどの小売店では、代金のやりとりはレジスターで管理されています。最近はレジスターの機能も進化し、現金管理の方法も容易になっているはずです。

ところが、現在でも、空打ちといって、顧客から受け取ったお金をレジに入れなかったり、従業員が勝手に取消の処理を行い、レジスターから返金用に取り出したお金を抜きとったりしてお店のお金を取ってしまうということが起こっています。

そして、一日に大量の商品を取り扱うスーパーマーケットでは、一度や二度の空打ちではお店側に発覚せず、長期間繰り返された後になって発覚するということがあります。

空打ちが発覚したとき、まず第一に重要なのは、空打ちをした従業員に事実を認めてもらうことです。

最近の店舗では従業員毎にレジのコードが割り振られているので、特定の従業員だけレジの取消が多い、とか、レジ打ちの際に不自然な動きをしていることが防犯カメラに写っているとか、同僚の目撃情報があれば、空打ちの事実を認めさせる説得材料になります。

しかし、お客さんの都合で取消を行うこともあるでしょうし、数回不自然な動きをしているのが確認された、というだけでは、長期間にわたる空打ちの全体像や具体的な損害額を認定することはできません。

当該従業員と具体的な話をして、事実を認めてもらうことが重要なのです。

長期間にわたって横領が行われていた場合、損害額を確定するために、レジの内容を遡って確認する必要もありますが、こうした細かい作業を怠ってどんぶり勘定で損害額を決めてしまうと、裁判になって損害額が争いになった場合、店舗側の主張の信用性が低下してしまうおそれもあります。

なるべく細かく金額を洗い出し、空打ちをした従業員と突き合わせをしておく必要があります。

また、空打ちが疑われる従業員と面談する際には、後になって、店舗側に脅されたから認めた、と言われたりしないように、人選を考え、なるべく冷静に面談を行い、可能ならば録音も残しておいた方がいいでしょう。

レジの空打ちは刑法上の窃盗罪に該当しますので、刑事事件として捜査してもらい、証拠を確保する、ということも考えられますが、いきなり警察に告訴状を提出しても、警察がすぐに捜査を開始してくれるとは限りません。

店舗の経営者が従業員に管理監督責任を有しており、店舗の内部的な問題として扱われること、一回一回の空打ちの被害金額が少額であることなどから、当事者間での話合いや、店舗側でレジスターの金額の整理を行うよう警察から求められることも多いです。

また、空打ちをした従業員に対して、お店としては懲戒解雇を検討するはずですが、懲戒解雇を行って解雇手当を支払わない、という処理を適法に行うためには、労働基準監督署に細かな資料を提出して、除外認定を受けなければいけません。

空打ちをした従業員と面談を行った後で、賠償額を記載した示談書を作成することが多いと思いますが、会社に対する慰謝料が賠償額に加算されているものを目にします。

裁判所では、会社については慰謝料を認めてくれないことが一般的なので、裁判になったときには慰謝料部分は削られてしまう可能性が高いです。

空打ちが発覚した際には、店舗側には、当該従業員との対話をはじめとして、示談書の作成、労働関係の処理、警察への相談など、たくさんのことを同時に進めていかなければなりません。

空打ちが発生すると、経営者にとってもショックでしょうし、弁護士に相談することもはばかられるかもしれません。

しかし、感情を抑え、適切な対処をするためにも弁護士に相談することは必要なことだと思います。